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ノルン家の『当主』
登場人物一覧
名前:リウィルディア=エスカ=ノルン
種族:人間種
性別:??
年齢:23
一人称:僕
二人称:~君
口調:~だ、~だよ、~だよね?
設定:
――この世界のリウィルディアは召喚の経緯を辿っていない。
故にこそ性別は隠されたままであり、そして彼女自身どちらとも断言せぬ中性的、無性的な立ち振る舞いを常にしている。
はたしてノルン家の美しき華は如何なる真実が在るか――と社交界で時折話題になるとか。
……しかしこの世界における最大の差異は召喚の経緯だけではない。
彼女自身の在り方も、だ。
ノルン家の現『当主』である彼女は穏やかにして理性的な顔を対外的には見せているが。
その裏には狂気が秘められているのである。
彼女は常に感じている。『何か』が己には欠けていると。
それが何かは分からない。『何か』が無い気がするのだが、分からない。
脳髄の奥底から何かが抜け落ちている様な感覚に――永劫に囚われている。
だからこそ満ち足りている者を見ると我慢がならない。
不足が無い者が。平穏である者が。
――あぁ何故お前達はそうなのだ。煩わしい。満ち足りるな、お前も渇け。
領民であろうと。旅の者であろうと。
彼女は時に暴走し――ノルン家本邸、別邸、王都に所有する書斎館の『地下』に秘められし空間へと誘う。
その地にて興じられるは死の遊戯。
悲鳴と絶望、今までの平穏全てが覆り誰の手も届かぬ領域へと落とす、彼女の憂さ晴らし――
……その行いは露見しない。ノルン家は代々善政を敷いてきた一族であり。
そして彼女自身、基本的には良き領主。良き人として振舞い。
領民からも人気の高い――人物なのだから。
それでも彼女は求めている。
己に足りない――欠けている様な気がする『何か』を求めている。
常に。常に……
――なお。
現時点で確認しうる限りで『この世界』に彼女の兄にして現実における本当の当主である筈のアルテリウスはいない。
リウィルディア自身に問うても。周囲の人間に問うても。
誰も彼もアルテリウスなどという一個人の事は知らない。
……が。奇妙な事に、ノルン家の屋敷などには奇妙な『形跡』が微かに残っている事がある。
誰かがいた気がするのだ。
それなのになぜ誰も彼も、一人の存在を知らぬのか。
まるで忘却しているかのようだ。
まるでその人物のデータ自体が『風化』しているかのようだ。
データの狭間へ退廃の雫は消え失せる。彼は今――