PandoraPartyProject

SS詳細

お姉様の誕生日!

登場人物一覧

クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
クラリーチェ・カヴァッツァの関係者
→ イラスト

名前:メイ
種族:精霊種
性別:女性
外見年齢:少女

 メイにとって、その日は驚くべき日だった。
 敬虔なる信仰の徒、滅多に遅くになって帰ってくる日のないお姉様――クラリーチェが、珍しく普段帰ってくる時間に帰ってこなかったから。
 お姉様なら大丈夫――そうきっと、大丈夫。
 そう信じていても、少しだけびっくりして。少しだけ不安になって。
 待ちきれなくなって飛び出した。

 もちろんというか、彼女のいる場所は直ぐに教えてもらうことが出来て、安堵しながらもやっぱり心配で走る足は速まるばかり。
 教えてもらったその場所で、ショーウインドウには綺麗なドレスが飾られていた。
 少しばかりそれに視線をやって立ち止まった後、直ぐに我に変えれば、恐る恐るお店に入る。

 ちりりんと鳴った入店の鈴の音に、妊婦の店員さんがこちらを見て、ドレスを着たおねえさまが振り返る。
「おねーさま!」
「メイちゃん……? あっ、もうこんな時間でしたか」
 不思議そうにメイを見て、時計を見たクラリーチェが少しだけ安堵したようにも見えるのは気のせいだったのだろうか。
「おねーさま……素敵です!」
 近づいてみれば、彼女が着る衣装は目を奪われるほど素敵だった。
「おや、教会の……良かったら、アンタも着てみるかい?」
 そう言った妊婦は、よく見れば信者の人だった。
「いいんですか……?」
「構わないよ。せっかくだし、一緒に写真も撮るのはどうでしょうか?」
 メイに頷いてくれた信者は、そのままクラリーチェへとそう告げて。
「……そうですね、そうしましょうか」
 ――そう、優しく微笑んでくれたのだ。
「ええっと、メイちゃんかい? アンタはどれか着たいものがあるかい?」
「私は――私も、おねえさまと一緒の物が着たいです!」
 折角なら、それがいい。
 だって、お姉さまはこんなにも素敵なんだから!

おまけSS『或いはもう一つの――』

「私は――あの、ええっと……お外にある、あのふわふわってしたドレス、着てみたいです」
 思い浮かべたのは、店先に飾られていたドレス。
 ふわふわのフリルをしたプリンセスドレスに、ちょっとした背伸びの厚底ブーツ。
 少し明るめの色合いがメイに似合わないのなら、寒色になってもいいのかもしれない。
 スカートに猫の肉球マークがあるのも、どことなく親近感があった。
 だから――アレが着てみたい。
「あぁ、あれかい。ちょっと待ってな」
 そう言って奥方が奥へ消えるのを、メイは見届けるのだった。

PAGETOPPAGEBOTTOM