SS詳細
『水』を包み、育む『炎』
登場人物一覧
- 燈・六花の関係者
→ イラスト
名前:燈・烏鷺(とう・うろ)
種族:亜竜種
性別:男性
外見年齢:30代前半
一人称:私
二人称:呼び捨て、お前
口調:だな、だろ、だろう?
特徴:【無表情】【短髪】【ストイック】【神経質】【淡白】【父性的】
設定:
陽の力を受け継ぐ一族、燈家――――――
その一族の中に於いて、異端とされる水の力を顕現させた六花を支え、後ろ盾となってきたのが烏鷺である。
一族の中に於いても大きな実力を有し、その力を襲い来る脅威から一族を守るために振るい続けてきた彼は、同族内でも高い地位に位置している。
その烏鷺が自らの地位を危ぶめてまで六花を保護しようとしたのは、六花の存在が彼の中にある微かな記憶と符合したためだ。
――「水の力を持つ者。即ち欲然足る者が現れた燈家に在りて、これに打ち克つ者」。
現在は烏鷺自身、口伝でしか知らない伝承を覚えている者は、恐らく既に燈家には存在しない。
要するに(現時点で漸く理解に至ったが)特異運命座標と言う外界との交流が発生したことにより、その繋がりを悪しきに利用しようとする者が一族の中に生まれた。
六花はこれを御する、或いは滅するため、十数年前から予め『遣わされた』存在だというのが烏鷺の見解である。
それ故、烏鷺は六花が生まれて直ぐ、異端だと断罪しようとする同族たちを押さえ、その身を保護して生きる術を教えてきた。
己れの力を扱う術や制御する手段は勿論のこと、一人で旅する時の野営技術や、また簡単な商取引における駆け引きの手法なども。
……未だ同族内では六花を災いであると捉え、ともすれば処刑しようとする者たちのことを鑑みれば、烏鷺の教えの中に宿る懸念は妥当なものであったと言えるだろう。
そうした来歴もあって、六花は彼のことを師父と慕っているが……反面、烏鷺が六花に向ける感情は複雑そのものである。
生まれてから現在に至るまで彼女を育ててきた烏鷺には、親代わりとしての慈愛は勿論存在するが、その反面、伝承が正しければ彼女が同族の誰かを……或いは多くを殺さねばならない宿命を担うことに対する心配も大きい。
――若しくは、自らが彼女に殺され得る対象であるのかもしれない。
何れ、その時がやってきたとき、烏鷺は『娘』に何と想いを伝えるべきか、今も懊悩している。
おまけSS
烏鷺にとって、六花の子育ては得難い経験であり、同時に最も困難な試練でもあった。
異端である彼女の子育てを手伝う、或いは教授してくれる者など存在しない以上、烏鷺は彼女の子育てを完全な手探りで行う必要があった。
幼い六花の反応から多くの失敗を重ね、その中から一つ一つ成功と言う名の経験値を積んでいき、手塩にかけて育ててきた彼女は、烏鷺にとって大切な娘そのものだ。
……だが、それ故に烏鷺は表面上こそ六花に愛情を向けることは殆ど無い。
先述のように、彼女が自らを殺さねばならない時が来た時、その情によって刃が鈍ることを彼は望んでいないのだ。