SS詳細
焼き尽くす太陽の目
登場人物一覧
- レーツェル=フィンスターニスの関係者
→ イラスト
名前:『あなただけの太陽』ラルフェ=ゾンネンアウゲン
種族:旅人
性別:女性
年齢(或いは外見年齢):外見10代前半
一人称:わたし
二人称:あなた、~さん(対レーツェル)お姉様
口調:です、ます、ですか?
特徴:黒髪に染めているが、本来の赤毛が頭頂部に出る。眼帯の下は空洞。
設定:
並行世界を観測する魔眼『
異世界にいた名前も色もない異形のものに強く惹かれた彼女は、異形に自らの片眼を与え、『レーツェル=フィンスターニス』として縛ることで自分の世界に引きずり込んだ。
数十年後にレーツェルが自分の世界を脱走すると、これを追うようにラルフェも世界を渡るようになる。
レーツェルと共に混沌世界に在る今は、彼女への重い愛情を日々向けながらも力を貸すこともある。
魔眼の他には、蒸気機械世界の魔女としての広い知識や、炎魔法を得意とする。
ギフト:『太陽の目』
本来は並行世界の観測を可能とする魔眼だが、彼女が見習いであることと、レーツェルの存在を固定するためにかなり無理をしたことに加え、幾度も重ねた世界渡りの影響により、現在は『レーツェルがいる場所と視界共有するか転移する』程度の能力に落ちている。
「お姉様……? ああ、お姉様! 隠れないでください、恥じらうお姉様も魅力的ですがわたしはお姉様とお話がした……もしかして、二人きりをご所望ですか!? わたしとしたことが考えが及ばず……さあ、どこへでも参りましょう。わたしは決して、お姉様を見失いませんから」
- 焼き尽くす太陽の目完了
- GM名旭吉
- 種別設定委託
- 納品日2022年02月19日
- ・レーツェル=フィンスターニス(p3p010268)
・レーツェル=フィンスターニスの関係者
※ おまけSS『愛するあなたを見付けるまで』付き
おまけSS『愛するあなたを見付けるまで』
●見られず、視られ、観る一族
わたしの世界には、ものが溢れていました。
『魔法』の概念は過去のものとなり、人々の間では大量生産を可能とする蒸気機械が一世を風靡していたのです。
過去を象徴する『魔法』は疎んじられ、閉じ込められ。異端として刑に処される者まで出る始末です。
そのような末路を避ける方法もあります。
蒸気機械の世界では、機械では解決できない問題も残っていました。機械の動力や、人手の不足。環境汚染。数えればキリがありません。
そのような『現在』の諸問題を、『過去』である魔法で解決できるのであれば、王家の監視はつくものの命は保証されたのです。
わたしの世界は、そのような世界でした。
そしてわたしは、その『監視された魔女』の一族でした。
『
並行世界の観測を可能とする一族の力でしたが、『太陽』の名の通り同一世界の観測も可能ではあります。
絶えず世界の観測を続けることで、反乱因子の告発を行うのが生きるための条件でした。
魔女の同胞を告発したことも少なくなかったみたいです。
告発を生業とする家族から、愛情が消えたのは自然なことなのかもしれません。
裏切り続ければ、いつかは裏切られるものです。大事なものなんて、絶対にあってはいけません。それが弱点になりますから。
物心つく頃にはわたしもそれを理解したのですが、逆に新たな興味も芽生え始めました。
ーー人間でなければ、愛してもいいのでしょうか?
●どこかにいるあなたへ
気が付けば、わたしは『わたしが愛せるもの』を探すことに夢中でした。
初めに思い付いたのは、犬猫などのペットでした。でもだめでした。
人間でなくても大事なものを作るなと、親に取り上げられてしまったからです。
ではそれ以外の、絶対に弱点にならないもの。誰からも愛されないようなもの。
捨てられたもの。独りのもの。
そもそもこの世界のものでなければ、弱点として狙われることもないでしょうか。
わたしだけが愛せる、違う世界のなにか。
この目なら、どこかにいるそれを見付けて、愛せるでしょうか。
愛する、とはなんでしょうか。
大事にする、とはなんでしょうか。
取り上げられないように、隠されないように。
壊されないように、狙われないように。
いつもわたしの手が届く所に置いて、抱き締めて守って。それでも狙われるなら、相手を消してしまえばいいでしょうか。
大事に、大事に。絶対に守りますから。
どこかにいるあなた。わたしが愛するあなた。
わたしが見付けて、愛するために、今も生きてくれているあなた。
どうか、そこで待っていてください。
●焼き尽くす太陽
あまねく世界を照らす太陽。
夜に在っても月を照らす光は、ついにその世界を、あなたを見付けました。
色のない世界で、触手と腕を生やし、大きな眼球を蠢かせていた巨大な肉塊。
そこは、それしかない世界でした。
あなたしかいない世界では、わたしはあなたしか愛せません。
あなたなら、きっと誰も愛しません。誰もあなたを知らないから。
わたしだけが愛せるあなた。あなた以外有り得ない。
わたしのために、生きていてくれたあなたーー。
視線を感じますか?
ーーそれはわたしが見ているからです。
熱を感じますか?
ーーそれはわたしの目が太陽だからです。
この世界のものは全て取り込んだのに?
ーー素敵ですね。わたしは他の世界の魔女です。まだ見習いですが。
ーー何をするのか?
お連れするのです。わたしの愛するあなた。その姿も素敵ですが、それではこちらに来れませんね。
では、
わたしがあなたの
わたしの世界で、あなたを全てから守ります。わたしの全てで、あなたを大事に守りますから。
どうか、どこにも行かないでください。
ずうっと一緒にいてくださいね。
愛するあなた。わたしだけのお姉様。
『