SS詳細
『救済の視座』リスェン・マチダ
登場人物一覧
名前:『
一人称:わたし
二人称:~君、~さん
年齢:23
口調:です、ます、ですか?
特徴:宝石を溶かして流したようにしっとりと艶めく瑠璃紺の髪、控えめで内気な緑の瞳
設定:頭に小さめの2本の角、背中に竜翼、肩から上腕にかけて竜鱗
おうちのお話:
リスェンは亜竜集落フリアノン出身。マチダ家は比較的新しい家柄。漢字表記だと「町田」。亡き祖父は集落の中でも外文化への憧れが強く、集落に伝わる外界の英雄譚や御伽噺をよく子供達に語っていた。リスェンの名は祖父が大好きだった創作英雄譚に出てくる優しき魔法使いの名前に似せて付けられた。
虚弱少女の瑕:
――『わたしのこころ、わたしのともだち』
リスェンは幼少の頃から体が弱かった。
大人達は脆弱なリスェンを特別気に掛けて接する事が多く、同年代の男子は気になる女の子を苛めてしまう心理から非力さを揶揄し、女子は大人や男子がリスェンばかり気にする嫉妬から距離を置いて一緒に遊ぶ仲間には入れなかった。内気な性質に周囲環境が後押しして内向的な少女時代を過ごした彼女にとって、己の貧弱な体形と体質はコンプレックスである。そのため、魔法使い風のとんがり帽子とマントで、同朋より小さく弱い種族特徴を隠している。そんな彼女にとって、動物達は心を許し安心して寄り添える存在。肌で、気配で、繊細な仕草で、偽らぬ感情を伝えてくる彼らを、彼女は友と呼ぶ。
リスェンの願い、信条:
――『わたしが特異だというならば』
自分が動物から幸せをもらったように、一匹でも多くの動物に幸せな生を送ってほしい。内気さ故にあまり感情は露わにしないが、弱いものいじめなどは絶対に許さない。
リスェンは自身が弱き者の心を痛感するが故に、常に弱き者の味方であろうとする。空中庭園に召喚された日、彼女は天啓めいた想いを抱いていた。
――わたしは、守りたい。助けたい。
助けをもとめている、誰か。絶望の淵にいるあなた。
蔑まれるちいさな生命、奪われる温もり、踏み躙られるやわらかさ。
わたしが手を伸ばして、抱きしめて、庇い、この力で助けたい。
「わたし、あなたを助けます。世界中に見放されても、わたしはあなたを見捨てたりしません」
「笑ってほしいんです。幸せでいてほしいんです。救いがあってほしくて――望んでいるだけじゃ、ダメだって知っているんです。だから、わたしは戦うんです」
おまけSS『『少女と羽リス』』
在りし日の物語:
――『少女と羽リス』
ある時、祖父が老衰に倒れて、少女リスェンは大人達の目を盗んで集落を抜け出し、薬草を探しに出かけた。危険な外には可能性も沢山溢れている。祖父が語りし物語のように、勇気を伴い冒険をすれば奇跡が見つかるのだと思った。だが、現実は厳しく、少女は直ぐに疲弊し、危険な亜竜が跋扈する岩山の麓で発熱し、一歩も動けなくなってしまった。
そんな少女に鼻を寄せ、水や食料を運んでくれたのが羽リスと呼ばれる小さな動物だった。羽リスは水場から何往復もして口に水を含ませ少女に水分を与え、懸命に食料を運び続けた。近付く亜竜を発見しては飛翔して別方向に誘導し、少女を護った。
一昼夜過ぎ、集落の大人達がやってきて少女を発見した時、傍らには傷だらけの羽リスが寄り添い、ちいさな体で懸命に少女を温めようとしていたという。