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SS詳細

『虞』

登場人物一覧

クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
クラリーチェ・カヴァッツァの関係者
→ イラスト

名前:フロース
種族:不明
性別:不明
外見年齢:『少女』
一人称:わたし
二人称:あなた
口調:です、ます、ですか
特徴:迷宮森林に住まう、『精霊様』
設定:
 クラリーチェ・カヴァッツァが幼い頃に住んでいた深緑の集落の近郊には深き森と古代遺跡が存在した。
 森の名前は『フロース』。美しい花が咲く野と点在する古代遺跡は集落の子供達の遊び場であった。
 その一角にぼんやりと座っていたのが彼女達が『精霊様』と呼んだ秘密の友人である。
 子供達の秘密を不審がった大人達は『精霊様』の存在に気づき、村で尊き存在として世話をすると決めた――だが、それが悲劇の始まりであった。

 精霊様の傍に居た者の感情は精霊様に伝播した。精霊様はその感情を『増幅』して返した。
 嬉しいと思った者へと其れが人生の誉れであるような幸福へ。悲しいと泣いた者には絶望と失意の底へ。
 ある村人が抱いた負の感情は精霊様の『力』により膨れ上がった。理性さえも溶かしきった村人達の諍いは集落を崩壊へと導いた。
 その後、クラリーチェは精霊様の行方は知らないまま――

 その正体は『大樹ファルカウ』の周辺に存在する霊樹達の防衛機構。
 R.O.Oでは『大樹の嘆き』と呼ばれた存在と類似したものが人の形を取ったのである。
 つまりは幻想種達によっては良き同居人であり、尊び愛した森の木々の一つである。
 幻想種は共同体だ。故に、森は彼女達の感情を受け入れ、其れを返す。
 精霊様――識別の為に森の名を取って『フロース』と名付けられる其れは共同体との生活のために個としての形を得て集落に混ざっていただけに過ぎない。
 其れは無垢であり、無知である。
 故に、村人達の怒り、悲しみ、絶望、それら全てを理解しているわけではない。

 フロースは成長した。言葉も話せず、只、手を引かれていたあの頃とは違う。
 言葉を有し、問いかける。
「どうして、あなた、かなしい……です、か?」
「どうして、あなた、おこる……です、か?」
 其れに倫理観など存在しない。森の木々から生まれ落ちただけの存在に過ぎず、集落を滅ぼしたのは村人達でしかない。
 其れに罪の意識はなく、其れに人々の愚かさを罰するつもりもない。
 只、其れはそこに存在しただけだった。
 フロースが今、どうなっているのかは――……

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