SS詳細
玲瓏郷ルシェ=ルメア
登場人物一覧
名前:玲瓏郷ルシェ=ルメア
設定:
本設定は人物個人のものではなく『玲瓏郷ルシェ=ルメア』と呼ばれる秘された聖地に関わるもの。
玲瓏郷ルシェ=ルメアは深緑、迷宮森林の奥深く、一般的な空間から隔絶された『異空間』と称するべき次元の狭間に位置する『歪』のような場所。
混沌の一部でありながら、混沌から外れたその場所は人智の届かない『美しいもの』であり、美しい湖を中心に置く風光明媚な森はそれが『世界の全て』である。
肉体を持つ生命体と、その精神の交わる場所であり、世界自体が非常に高い神秘的適正、魔的素養を帯びている。その為、領域そのものが『遥か美しき願いを届ける願望機』。得るものが得れば利用価値の塊である為、狙う者が居る事は否めない。
玲瓏郷は深緑の中枢付近に存在する精霊種の領域である訳だが、最初にこの世界に存在するのは主たる玲瓏公ベアトリクスだけ『だった』。
当時の彼女は大した力も持たない唯の精霊種に過ぎなかったが、大きく状況を変えたのは一つの出会いと事件であった。
事件は当時の深緑を脅かした二体の竜種『フォウ=ルッテ』と『茨紋』が玲瓏郷に侵入した事。ベアトリクスは彼女等竜種に加え、老齢の女勇者と出会う事で奇妙な運命の歯車を動かす事になったのである。『どうも自分の死ぬ姿を何処かの誰かに見せたくはなかったようで人生の黄昏に旅をした女勇者』は、行きがかり上、玲瓏郷の救世主となる。失われつつあった平和の危機にベアトリクスとの契約を果たした彼女は一時力を取り戻し、対話(パンチ)と祈り(キック)で二体の竜種を沈……鎮め、『人の想いの美しさ』を知った竜種達はそれ以後、玲瓏郷の守護者となったのである。
女勇者はその後、最後の友人達に看取られて穏やかに息を引き取ったが『運命的特異点』である彼女と繋がったベアトリクスは特別な力を得るに到った。彼女によれば深緑との旧き盟約が存在するらしく、現在の深緑は玲瓏郷の平穏を、玲瓏郷の深緑の守護を互いに約束する関係らしいが、この相互利益の契約を果たされたのは厄災と出会いの後であるという。
玲瓏郷で更なる運命が産声を上げたのはそれから更に遥かな時を経た後であった。
迷い込んだ一人の俊英、若き音楽家と恋に落ちたベアトリクスが産み落としたのは一人の女の子。
彼女の姿や魂の形が驚く程、かつての友人に似ていたのは『旧き契約』が無関係であったとは言えないだろう。
- 玲瓏郷ルシェ=ルメア完了
- GM名YAMIDEITEI
- 種別設定委託
- 納品日2022年02月13日
- ・アベリア・クォーツ・バルツァーレク(p3p004937)
※ おまけSS『願いの果て』付き
おまけSS『願いの果て』
●願いの果て
「良く見たら」
「何よ」
「最悪だった」
「はあ? いきなり何よ!
良く見たって見なくたって可愛いでしょうが!
だらしないあんたの為にお弁当を作ってくる優しい子を邪険にしていいと思ってる訳!?」
「……一つ聞くが」
「何よ」
「『どうして構う?』」
「……どうしてって……」
「貴様は好きな男も居るだろう。小生に惚気ける愚物の極みだからな。よく承知しているとも。
どうして小生の平穏な時間を邪魔したがる?」
「それは……」
「『どうしてか分からないだろう?』
まぁ、『そういうもの』だからそうなのだろうが――だからこそ最悪だ」
「馬鹿にしないでよ!」
「……?」
「分かるも分からないも――唯の趣味よ」
「……………」
「理由とかないのよ。放っておけないタイプなの。
ちょっと不本意だけど伯爵もアンタも同じなの。
嬉しい癖に、もっと素直になりなさいよね!」
「つくづく忌々しい――願望機(ルシェ=ルメア)め。
これが小生の願いだとでも? 今すぐに吹き飛ばしてやりたくなる」
「何よ、それ」
「だが、その言葉は聞いてやろう。
もうどれだけ前か――『そう思った頃もあったから』」