PandoraPartyProject

SS詳細

秋色Brillante

登場人物一覧

美咲・マクスウェル(p3p005192)
玻璃の瞳
リアム・マクスウェル(p3p005406)
エメラルドマジック

幻想王都、中心。この王都の中でも最も人の往来が多く、旅人も住人も混ざって賑やかな街。
その中のひとつ、最近できたモールという大きな商業ビルがあり、特に3階のフロアーは女性の洋服だけを扱った店のフロアーで種類豊富なので連日ファッションに敏感な女性で溢れていた。
その入り口に1組の男女が降り立つ。
「ここがモール……!」
「デカいとは思ったが中も広いな」
ミディアムで綺麗に整えた黒髪を揺らす美咲・マスクウェル(p3p005192)、それに付き従うリアム・マクスウェル(p3p005406)だ。
まず美咲が入ったのはワンピース専門店だ。各地のワンピースだけを集めただけではなく、オリジナルブランドも出しているショップでファンが多い。かくいう美咲も気になっていた店だ。
「わあ……ブランドの新作もう出てる。可愛い~!」
さっそく何着かを身体にあてて似合うものを探す。リアムは女性ばかりの店内に入りにくいのか、店の前の廊下で立っていた。しかしそれに気付いた美咲が商品を置いてリアムに詰め寄る。
「ん……なんだ?」
「なんだ、じゃないわ!今日1日、私の洋服を選んでくれるんでしょ!?」
そう言われると弱いのか、ぐっと押し黙ってしまうリアムだ。確かに今日の約束はリアムが美咲の洋服を選ぶことだ。しかし本当に女性ばかりで、慣れていない身として入っていけない。他にカップル客でもいれば、と思うが残念ながら今日は見かけない。
「ね、来て! 迷ってるの」
「……はあ」
仕方なく美咲に手を引っ張られる形で店に入る。店員や近くの客がふふと、微笑ましそうに見るので正直いたたまれない。
美咲は気にせず、迷ってると言った洋服を試着してくるから、逃げないでねと置いて行かれた。
しばらくして美咲がカーテンを開く。試着していたのは定番の赤のタータンチェック柄のAウエスト切り替えワンピース。スカートはチェックのプリーツだが、プリーツのインナーカラーはチェックではなく黄色の無地。膝丈と明るい色彩で落ち着き過ぎない1着だ。
「まずこれね。ここの新作で可愛いのだけど、もう2着あるの」
そう言ってまたカーテンの向こうに消える。リアムとしては今ので十分良いのだが、しかし少しばかりスカートが短かった気がした。
「次はこれ。甘いテイストで良いかなって」
それはスクエアネックにパフスリーブのワンピース。パフスリーブの素材は半透明なクリンプオーガンジーで色は優しいピンクベージュ、ウエスト回りにギャザーが入った可愛い人の為に存在のものだ。
「もう1着。これが1番、誘惑してくるの」
言い残してまた消える。確かに可愛いが、あの袖は寒くないのだろうかとつい考えてしまう。
その間に美咲は黒と白のウィンドウペーンチェックのアイラインワンピース、胸下に幅広ビスチェの大人っぽさを最前面にしたスタイルでカーテンを開いた。
「こういうセクシーでカッコいい服は持ってなくて……。どうかな?」
「……それはその…………」
しどろもどろになって目を泳がすリアムとそれをじっと見つめる美咲。しばらくして美咲が折れて、次を観ましょうということになった。
隣の店舗には深縁から幻想に初出店した、深縁では若者に人気の店だった。特徴としては伝統的な学校制服をファッションに昇華させているところである。
「ねえ、見て。可愛いセットアップ」
そう言って美咲が自身の身体の前にあてた洋服は膝丈のショートパンツと同じグレンチェックのジャケットのセットアップだ。
すかさず店員が説明する。これは特に男の子の制服では伝統的らしい。なので、ハイネックで男子学生風するのがオススメだとか。
「ええ、可愛いですね! やってみたくなります!」
美咲が店員の説明とオススメコーデに感動し、リアムも確かにこの柄に灰色という雰囲気なら着やすいなと思った。派手さを感じないので男性用のパンツがあれば、といったところか。
余談だが、ここの5階はメンズファッションのフロアーでそこに同じ店のメンズ部門も出店している。
「あ、あのマネキンの服も可愛い!」
そう美咲が駆けていった先にマネキンがいた。そのマネキンは、ショートジャケット、ワイシャツ、そしてクロスタイに八分丈の裾絞りパンツと少年探偵を気取った格好だった。
「こういう服、元の世界にもあったわ。ゴシックだっけ?」
友達が好きだったのよねと美咲が懐かしそうに笑う。
様々な世界を旅してきたリアムには、かける言葉はない。なぜならお別れがいつも隣にある。
「しかし一応長袖とはいえ、腹と背中回りの布が少ないから寒そうだな……」
そういう無粋なことは言わないのと美咲がたしなめて次へ行く。どうやら一周して買うものを決めるらしい。
次の店はシンプルだが、高級感漂う雰囲気だった。良い服をとは思って来たが、ちょっとドキドキしてしまう店構えである。
「……ここも、行くのか?」
それが伝わったらしいリアムが心配そうに美咲を覗き込む。
ハッとして美咲は頷いた。大丈夫、稼いでるわ。
「どうぞ。良い服をリーズナブルに、がモットーのブランドになっております」
店員のその呼び声に2人は心から安堵した。せっかくなので、呼び込みしてくれた店員にオススメを聞いてみることにした。
店員は深緑の薄手セーターに白のロングスカート、腕とデコルテに上品なレースで透けた深いピーコックブルーのトップスと八分丈のハイウエストスカートでグレーの格子千鳥柄を持ってきてくれた。
「素敵ですね。大人っぽいけど可愛さもあって」
「それにセーターなら冬でも着れそうだな」
2人は店員にありがとうとお礼を言い、もう少し見て回ることを告げてわかれた。
この店の隣は階段を挟んだところにあり、どうやらそこが最後の店らしかった。
シンプルで動きやすそうな服が並んでいた。
「じゃあ、ちょっと着てくるね!」
ざっと見て回った美咲が数点を持って試着へ消える。恥ずかしいものの慣れてきたリアムがその前で待つ。
まずメンズ風の長袖シャツに黒のワイドパンツをサスペンダーで緩く吊ったヘルシーでスポーティーなコーデ。
「動きやすそうだ」
リアムの正直な感想はそれにつきる。アクティブな活動に良さそうだ。なるほどと美咲が呟いて試着へ戻る。
続いてキャラメル色のキャミサロペットにとろみ素材のブラウスと大人の可愛さを演出したコーデをしてきた。
これにはリアムはカッコいいなとこぼした。それにじゃあ最後ねと試着へ。ほどなくしてジーンズ素材のジャンパースカートには優等生なかっちりワイシャツのアクティブなスカートスタイル。
「……あら?」
美咲がカーテンを開けたらリアムがいなかった。どこに、と思ったら隣から声が掛けられる。なぜか買い物を済ませたリアムだ。
「先に買い物してたの?」
「まあな。それも動きやすそうだ」
美咲が缶バッジでも買ったのかしらと思いながらリアムの感想を聞く。「どれが良かった?」
「最初のワンピースと灰色のヤツ、あとセーターとサスペンダーはどうだ?」
「うん、良いね!」
美咲が笑って買ってくるとリアムに背を向ける。その頭にリアムがぽんっと何かを乗せる。1軒前で売っていた飾りのワッペンが可愛い白のふわふわした帽子だった。
「リアム…これ……」
「似合うと思ってな」
美咲が今日1番の笑顔を見せた瞬間だった。

  • 秋色Brillante完了
  • NM名桜蝶 京嵐
  • 種別SS
  • 納品日2019年09月16日
  • ・美咲・マクスウェル(p3p005192
    ・リアム・マクスウェル(p3p005406

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