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少年『ウヅキ』について
登場人物一覧
名前:ウヅキ
年齢:7歳
一人称:ぼく
二人称:あなた、~さん
口調:だよ、だよね、かな?(弱気)
特徴:アドラステイアで拾われたばかりだった
設定:
ウヅキは不幸な少年である。
親の顔を知らぬうちに捨てられていれば、いっそアドラステイアの住人として“幸せに”生きていけたのかもしれないが、彼が捨てられたのは何故か7歳の誕生日だった。母親もきっと苦渋の決断だったのだろう。手持ちの金さえ許せばウヅキとずっと幸せに暮らしていきたかったのだろう。
だが其れは叶わなかった。ウヅキの母は結果としてウヅキを路地裏の木箱に座らせ、「直ぐに戻って来るからね」と何処かへ去り、3日経っても戻ってこなかった。其れが事実だ。
ウヅキはずっと待っていた。お腹が減って、雨が降ったから其れで喉を潤した。けれど母は戻ってこなくて、しくしく泣いていたところをとあるシスターに拾われたのだ。
「貴方、信じている神様はいる?」
其れが、ファルマコンとの出会いだった。
子どもたちだけの楽園へ、ウヅキは脚を踏み入れた。けれどシスターが案内してくれたのは其処までで、気付けば魔女裁判で熱狂し、金貨や良く判らない“いいもの”を奪い合う子どもたちの坩堝にいた。
ウヅキは不幸な少年である。
彼は子どもが持ちうる無垢の狂気というものを知ってしまったのだ。
ウヅキは出来るだけ目立たないよう努めた。魔女裁判のターゲットになってしまわないように振る舞い、魔女裁判ではそれとなく大多数の意見に賛同し、キシェフを食料に変えた子どもから分け前を貰って過ごした。
そんな中、大人が突然沢山押し入ってきた。
ウヅキは吃驚して、そして怖くなった。また住むところを奪われるのだろうか。また、僅かな食糧を奪われるのだろうか。
けれども戦う勇気もなくて、使い方も判らないナイフを握って、物陰で震えていた。
そうしたら、大人の一人が此方に気付いた。目に眼鏡のようなカバーを付けた、見た事もない服装の大人。
殺される。殴られる。出来ない子だって言われる。
或いは魔女裁判より酷い目に遭うかもしれない。怯えたウヅキの頭に、ぽん、と温もりが乗っかった。
ウヅキは驚いた。まさか、頭を撫でられるなんて思わなかったから。
母と過ごしていたあの日を思い出してしまって、ウヅキは大人たちが何処かへ去った後、一人で泣いた。