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メッセージアプリに通知があります
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登場人物一覧
昼顔はスマートフォンの画面を見つめ上から降りてくる通知に首を傾げる。
「珍しい。龍成氏からだ」
メッセージアプリを開けば、龍成からの飾りっ気の無い文章が並んでいた。
――昼顔、今日暇ならうち来いよ。カレーあるってよ。
「カレーって。龍成氏、それ自分で作ったやつじゃないでしょ。白銀氏が作ったんでは」
彼は燈堂の屋敷で生活をしている、昼顔の友人だ。
あまり友達を作る方ではない昼顔がこうして何かしら繋がっていられるのは、彼の弱い部分を知っているから。
弱さを曝け出してくれたから。安心できるのだ。自分だけが弱いんじゃないと思えるから。
「どうしようかな」
昼顔は少し落ち込んでいた。年末のROO事件以来塞ぎ込んでいるのだ。
それを知ってか知らずか、相変わらず龍成から誘いは来る。自分も何だかんだ顔を出すのだろう。
「まあ、せっかく誘ってくれたし行くかな」
胸につっかえたままの何かから逃げる事になるけれど。
それでも、一時でも忘れる事が出来るのは良いに違いない。
そして、それが友達と紡ぐ楽しい思い出だったら嬉しい。
今から行くよとメッセージを打った瞬間に、嬉しそうなスタンプが押されて、昼顔は小さく微笑んだ。