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にゃーと言って
にゃーと言って
登場人物一覧
祝音と白雪は今日も燈堂家の縁側で日向ぼっこをしている。
あたたかい陽光がふたりを、もふもふであたたかくする。
白雪と居ると祝音は幸せな気分になって、いつも眠たくなってしまうのだ。
「にゃー」
「……えへへ、眠いのばれちゃった」
祝音が眠たそうにしていると白雪は決まって「にゃー」と鳴く。
縁側に丸まって尻尾を小さく振るのだ。
これは、枕にして良いという合図。
最初の頃は分からなくて、白雪を枕にするなんて重そうだと遠慮していたのだが。
白雪の兄の黒夢が「白雪は夜妖だから大丈夫。むしろ祝音さんがくっついてくれなくて寂しがってます」と教えられてから、素直に甘える事にしている。
「んー、えへへ。あったかい」
「にゃー」
それは良かったと言わんばかりに優しい声で鳴く白雪に、祝音は嬉しくなって目を細めた。
時々、悪戯で尻尾がふわっと顔の上に落ちてくる。
けれど、それも幸せで楽しい時間。
だって、白雪が祝音に悪戯しても良いと思ってくれているということだから。
それだけ仲良しだってことだから。
祝音は白雪の尻尾を抱き込んで「にゃー」と声真似をする。
白雪の肉球をふにふにと遊べば、しばらくするとひゅっと引っ込むから。
その時は白雪のふさふさのお腹に顔を埋めて吸うのだ。