PandoraPartyProject

SS詳細

慧眼金鵄。或いは、多くを見る眼と自由の翼…。

登場人物一覧

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
十夜 縁の関係者
→ イラスト

名前:メルクリオ
種族:飛行種
性別:男性
年齢:24歳(自称)
一人称:俺
二人称:あんた、君
口調:~じゃん? ~っすよ、~だぜ、など時と場合と相手に合わせて切り替えるが、悉くに軽薄さが滲む。
特徴:金髪、赤眼、端正な顔立ち、身長や体格に比して体重は軽め。
設定:
“慧眼金鵄”の異名をとる海洋ギャング《ワダツミ》の幹部。
鳶の飛行種。軽薄かつ陽気な性格をしているが、彼をよく知る者の中には「彼の振舞いはすべて演技で、心の内を表に表わすことはない」と評する者もいる。
また、海洋一の情報屋としての顔も持っており、事件とあればその翼でもって現場へ急行する姿を度々目撃されていた。
「情報は翼で稼ぐもの」と嘯くが、その割には遠く離れた地の情報さえ彼は掴んでいるようだ。その理由についてを彼が口にすることはない。「奥の手は秘匿するもの」という、情報戦の鉄則を、正しく理解していることの査証である。
仕事柄、交友関係は広く悪人、善人、一般人を問わず海洋国家の各所に多くの友人や知人がいる。彼自身が生まれ持った性質のほか、実益も兼ねており、例えばナンパした女性から“噂話”として情報を得ることもある。
戦闘においては、短剣などを用いたトリッキーなヒット&アウェイ戦闘を得意とする。
しかし、彼曰く「本物の武器はトークスキルと親しみやすさ」とのことだ。情報を武器と考える情報屋らしい発言である。

故意か、それとも図ってか、彼は自らが所属する組織《ワダツミ》についての情報を軽々に他者へ漏らすことがある。しかし、彼によってもたらされた情報は「嘘ではないが大して重要でもない情報」に限られている。

最近は、とある海洋都市へ頻繁に足を運んでいるようだ。件の都市は《ルッチ・ファミリー》という海洋ギャングの縄張りであり、そこに足を踏み入れるという行為は、本来であれば避けるべきである。
しかし、どういうわけかルッチ・ファミリーに彼の来訪を拒む様子は見られない。おそらくは、ルッチ・ファミリーと関係のあるかつての《ワダツミ》幹部、『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)の存在が関係していると思われる。彼がルッチ・ファミリーへ何らかの情報を渡すなどしていることは明白だが、現在のところそれについて咎められた様子はない。
ただ1つ確かなことがあるとするなら、今のところ彼と『幻蒼海龍』が顔を合わせたことは1度も無いという点だろう。

  • 慧眼金鵄。或いは、多くを見る眼と自由の翼…。完了
  • GM名病み月
  • 種別設定委託
  • 納品日2022年01月16日
  • ・十夜 縁(p3p000099
    十夜 縁の関係者
    ※ おまけSS『波乱怒涛。或いは、嵐の夜の挿話…。』付き

おまけSS『波乱怒涛。或いは、嵐の夜の挿話…。』

●嵐の過ぎるその前に
 海洋。
 とある港町。
 暗い夜空に渦巻く暴風。窓に叩きつけられる雨粒の音は、まるで散弾銃の掃射のそれにも似ていた。
 薄暗い部屋に満ちた紫煙とアルコールの匂い。言葉を交わすこともなく、2人の男女が好き勝手に上等なラムを嗜んでいる。
「よぉ、メルクリオ。お前さん、あいつとは知り合いなんだろ?」
 ポツリ、と。
 低く唸るような声音でそう問うたのは、赤い短髪の女性であった。彼女の名はヘルヴォル。海洋ギャング《ルッチ・ファミリー》の幹部を務める鉄鎚使いだ。
「あいつ? あいつってのは誰のことっすかね? こう見えても顔が広いもんで、知り合いって程度でよければ砂浜の砂ほどに多いんだよね」
 ラムをちびりと舐めながら、メルクリオと呼ばれた男は軽薄な笑みを浮かべて見せる。
 ギャングの幹部にして、武闘派で鳴らすヘルヴォルの放つ威圧感は本物だ。並大抵の度胸では、彼女と同じ部屋で酒を酌み交わすなど到底耐えられはしない。少しでも対応を間違えて、彼女の機嫌を損ねてしまえば、次の瞬間、鉄鎚で頭蓋をかち割られても何ら不思議はないからだ。
 事実、過去にはヘルヴォルを口説き落とそうとした別組織の交渉人が、次の早朝、頭部の潰れた遺体となって海に浮いていたこともある。
「茶化すなよ。あいつってのは、十夜縁って名乗る剣士のことだ。アンタがここを訪れるのは、アタシやボス・ルッチが縁の野郎と接触した後と相場が決まってるからな」
「あら? ははっ、何だよヘルヴォルさん。思ったよりも頭が切れるね?」
「はんっ、生憎と気付いたのは別の幹部だ。そいつは他人の考えていることが読めるのさ」
「おや? ってことは、俺が何のために来てるのかなんてわざわざ説明するほどのことも無いじゃないか」
 カラン、と。
 メルクリオの手にしたグラスの中で、溶けた氷が音を鳴らした。
 沈黙は数秒。
 溜め息を零したヘルヴォルは、グラスの中身を一息に飲み干し、熱い息を吐きだした。
 頭と胸に溜まった熱を酒精と一緒に吐き出して、幾らか冷静さを取り戻したのだろう。鉄鎚に伸びかけていた腕を引っ込め、代わりにラム酒の瓶を手に取る。
「そいつが言うには、あんたの考えばかりは上手く読めねぇとさ。のらりくらりと、まるでクラゲのような奴だな」
「俺はクラゲじゃなくて鳶だよ。その幹部さんにはそう伝えておいてくれ」
「言葉の綾だ。皮肉も通じねぇってんなら、単なるノータリンって線もあるか?」
「かもね。ところで、ノータリンからの提案なんだけどさ。眉間に皺を寄せてちゃ、綺麗な顔が台無しだよ。どうかな、俺と飲みに繰り出すってのは」
 コトリとテーブルにグラスを置いて、メルクリオは席を立つ。
 ゆっくりと、ヘルヴォルの傍へ近づいていく彼の眼前に、ひゅおんと鉄鎚が振り下ろされた。わずか数ミリの間をあけて、メルクリオの鼻先を鉄鎚が薙ぐ。たまらず、メルクリオは冷や汗を流した。
「興味ねぇな。それで、実際のところどうなんだ? 事と次第によっちゃ、アタシとあんたは手を組める。違うかい?」
 そう言ってヘルヴォルは、自身の胸元を拳で2度ほど叩いて見せた。服の裾から覗く肌には、火傷と裂傷の痕が残っている。
 それはかつて、縁によってつけられた傷だ。
「手を組めるかどうかは未知数だ。ついでに言うなら、俺とあの人に面識は無いさ。俺が一方的に知っているだけだ」
 そう言ってメルクリオは、両手を顔の高さに掲げて窓際へと下がった。
 暗い夜空に、一条の稲妻が走る。
 次いで、空を引き裂くような轟音。
 雷はきっと、遥か遠くの海上へと落ちただろう。
 それを見て、ヘルヴォルは僅かに顔を顰める。雷に対して、否な思い出でもあるのかもしれない。
「何事もなければそれはそれでいいし、もしも何事かが起きるのなら、俺は《ワダツミ》の幹部として行動を起こす。その結果がどうなるか分からないから、こうして《ルッチ・ファミリー》と顔を繋いでいるってわけだよ」
「……食えねぇ野郎だ。あんたも、あいつも……どいつもこいつも」
 つまらねぇ。
 吐き捨てるようにそう告げて、ヘルヴォルはラム酒の瓶に口を付け、琥珀色の酒精を喉へと流し込む。
 雨があがって、メルクリオが帰路に着くまでの数時間、2人はこうして同じ時間を過ごしていたのだが……彼と彼女の邂逅を知る者は他に存在しない。

PAGETOPPAGEBOTTOM