PandoraPartyProject

SS詳細

猫色プロムナード

登場人物一覧

シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃

 ――まるで絵に描いたような、爽やかな秋の空だった。澄んだ青色のカンバスの、所々に散った白い雲が何だか眩しくて、『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は大きく伸びをする。
 ああ、頬を撫でる風が心地よい――今日は依頼も入っていないので、のんびり過ごそうか。そんなことを考えながら、街角探険に乗り出そうとしたシャルレィスであったが、どうやら混沌世界は彼女を放っておいてはくれないらしい――。

「うわ……っ!」
「あああ、すみません!」
 出会い頭、小柄な人影とぶつかったシャルレィスは、石畳に尻もちをついている相手――恐らくは自分と同じくらいの少女――に、咄嗟に手を差し伸べた。
「ありがとうございますっ。……私ったら、前を見ないで歩いていて!」
 しきりに頭を下げる少女は、化粧っ毛はないものの、大きな瞳が愛らしい。簡素な服から、つんと漂ってくる匂いは、香水ではないようだけれど。
「あはは、急いでいたのかな? 気をつけて――」
 そんな少女の気持ちを和らげるように、快活に笑ってみせるシャルレィスだったが、そこでぴこんと彼女の人助けセンサーが反応した。
「……む、もしかして、何か困っていたりする?」
「!?」
 その瞬間、「ずざざっ」と音が聞こえる勢いで、少女が顔色を変える――が、やはり見ず知らずのひとに助けを求めるのは、心苦しく思っているのだろう。
「大丈夫だよ。困ってる女の子が目の前にいたら、放ってなんか置けないし」
 それに、どうせ助けるなら可愛い女の子が良い――ふと、天から妙な声が聞こえてきたりもしたが、シャルレィスは特に気にしないことにした。
「おお、あそこにいるのはシャルレィスじゃないか?」
「ああ、猫関係の依頼なら何でも飛んでくるって噂の冒険者か?」
「子供と遊ぶとかの雑用でも受けるらしいぞ。俺たち庶民には便利で助かるよな」
 ――そして非常にタイミング良く、近くの通行人たちが、シャルレィスを見て噂話を始めてくれたりもして。目の前の少女は「冒険者ならば」と頷き、困りごとについて話し始めたのだった。

 ――少女の名はリュシーと言い、飼い猫が行方不明でずっと探しているのだと教えてくれた。
「いつもなら、ふらっと居なくなっても必ず帰ってくるので、気にしていなかったのですが……」
「うんうん、猫ってそんな感じだよね」
 にゃんこに対する溢れんばかりの愛を漲らせ、しみじみ頷くシャルレィス。そんな中でも、彼女は日ごろの探険で割り出した、にゃんこスポットを指折り数えていく。猫が集まる集会場、よく野良猫に餌をあげているお店――などなど、その知識の深さにリュシーは目をまんまるにして驚いていた。
「よく観察しているんですね、シャルレィスさん……。私なんて、外のことなんて殆ど気にしてなかったのに」
「えっと、リュシーさんは……絵を描いていたりするのかな」
 と、続くシャルレィスのその言葉に、更に驚くリュシー。彼女の香りは、最近何処かで嗅いだような気がしていたのだが、どうやら油彩絵の具のもののようであった。
「はい、まだ駆け出しで全然なんですけど。この前、貴族の方にやっと、絵を買って頂けて――」
「……もしかして、それって雨の絵ばっかり集めてる、ちょっと変わり者っぽい貴族?」
 ――ああ、冒険者を続けていれば、こんなめぐり逢いもあるらしい。絵画に宿る悪霊を退治した雨の画廊にて、シャルレィスはこんなことを口にしたのだ。
(じゃあ、ここの絵を描いた見習いさん達も、いつか本で紹介されて有名になったりするかもね)

 ――そんな風に雑談を交わしつつ、猫の集まる場所を順に訪ねていっていると。シャルレィスの足元をちょこちょこと、二本の尾を持つ不思議な猫が駆け抜けていく。
「……い、今の猫、尻尾がふたつ?」
「キャトラトニーって言ってね、依頼を通して仲良くなったんだよ」
 ――ついでに鱗もあって、何でも食べてしまったりもするけれど、ちゃんと愛情をもって育てれば大丈夫なのだと言う。
「すごいですね、冒険者さんって……」
 そう言って好奇心いっぱいに、キャトラトニーの後を追いかけていくリュシーも、やはり猫が大好きなのだろう。誘うように揺れる二本の尾に導かれ、辿り着いた空き家の隅では――仲睦ましく寄り添う、猫の家族が居た。
「あ、居ました! ……もう、心配かけて!」
 でも、いつの間にかお嫁さんを貰って、猫の赤ちゃんまで一緒にいて――笑顔を覗かせるリュシーに釣られ、シャルレィスの顔にも自然と笑みが浮かんでいたのだった。

 ――これが特別な大事件が起きる訳でもない、シャルレィスの日々。未来の大冒険者になる事を目指す、元気いっぱいな少女の或る日の出来事。
 その後、風の噂でシャルレィスは、リュシーが一枚の絵を描いたことを知った。その絵の中では、蒼い髪の少女が二本の尾を持つ不思議な猫を膝の上に乗せて、楽しそうに笑っていたと言う。

  • 猫色プロムナード完了
  • GM名柚烏
  • 種別SS
  • 納品日2019年09月13日
  • ・シャルレィス・スクァリオ(p3p000332

PAGETOPPAGEBOTTOM