SS詳細
いつかあんたを超えるために。
登場人物一覧
- すずなの関係者
→ イラスト
名前:肇(はじめ)
種族:旅人
性別:女性
年齢:18
一人称:わたし
二人称:あんた、呼び捨て、くそワンコ(対すずな)
口調:ね、わ、よ 勝気でツンツン気味
特徴:ツンデレ/世話好き/心配性
本名、永倉肇。元の世界でのすずなの仕事仲間。
対人も含め、妖怪や悪霊などの退治を生業としていた妖剣士集団の一人。
集団と言っても仲間意識はなく、仕事の獲り合いは日常で、言うなればライバルのようなものだった。
その中でも特にすずなとぶつかっていたのが、この肇である。
実際はすずなに限らず、他とも散々ぶつかっていたのだが、それは余談。
腕前はすずなに僅かながら及んでいなかったが、年下である事を鑑みればかなりの才をもっていたと言える。
やや脳筋気質があるものの、妖刀の加護を活かした剛剣、異能を用いるオールラウンダータイプ。
散々やり合ったが、明確な決着は着かず終いで――気付けばすずなは消息不明。
丁度良かった遊び相手がいなくなって意気消沈。行き場のない感情でモヤモヤしていた所、最近混沌へと召喚された。
豊穣――神威神楽にて純正肉腫との交戦中にすずなと再会を果たす。
元々、すずながいることも知っていたし、何れ相応しい時が来たら挑もうと考えていた。
神逐に至る一連の騒動の中で、すずなとの実力差が以前の世界よりも開いていることを痛感して1人でちょっとへこんだことは内緒。
現在はラサから豊穣に本格的に拠点を移して活動中。
それまでの傭兵稼業のみならず、ローレットの一員としても依頼を熟している。
全ては開いた差を埋めるため――そして超えるために。
「前から言ってるでしょ――あんたを倒すのはわたしだって!」
――その言葉が虚しいものにならないために。
ローレットの仕事を始めたことで空中庭園ワープが遠慮なく使えるようになって活動範囲が広がり、ラサへもちょくちょく帰っているらしい。
得物は吸葛(スイカズラ)と銘打たれた大小二振りの妖刀。
一度振るえば巨岩をも砕くと言われる剛力の加護を施されている。
隠し絡繰りとして柄で連結し、双刃刀として使用可能。
おまけSS『埋まらぬ差を思う日々』
「あぁぁぁ!!!! ――もう!!」
全力で振り抜いた双刃刀から斬撃が飛び、賊を吹っ飛ばす。
手応えのさほどない敵を吹き飛ばす声には、ちょっぴりの苛立ちを乗せて。
「ねえ、大丈夫?」
この依頼で初めて一緒になった――名前もよく覚えていない少女が心配そうに肇を見た。
「だ、大丈夫よ! 気にしないで。そっちこそ、これくらいで疲れてないわよね!」
ツンケンとした態度はどうしても治らない。
これはもう、半分くらい自分でも開き直ってる。
(――この程度の敵を何人倒しても一緒なんじゃない?
くそワンコは、もっともっと強い奴と戦ってるはずなのに)
溜め息を吐きたい気持ちを押し殺して、くるりと振り返りみれば、少女の背中に剣を振り上げる男――少女を突き飛ばして、妖刀を薙ぐ。
剛力の加護を乗せた横薙ぎに男がすっ飛んでいった。
「ご、ごめんなさい、ありがとう」
「別に……あんたを助けたわけじゃないから。
目の前で死なれると目覚めが悪いだけよ」
――埋まらない気のする差を思って、刃を握る肇の手に微かに力が籠ったことは、知られたくない。