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虚実混沌都市・『再現性倫敦一八五〇』

登場人物一覧

ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702)
あいの為に

 『再現性倫敦一八五〇』は、練達は再現性都市群に存在する、文字通り1850年の英国・倫敦をモチーフとした再現性都市の一つだ。
 主にその年代から召喚された旅人たち、或いはその生活様式にあこがれる者達によって構成される霧の都である。

 1850年代の倫敦と言えば、中期ヴィクトリア朝の時代だ。帝国主義と産業革命によって大英帝国の栄華は頂点を極め、その代償として公害による大気汚染が深刻化。霧の都、等と揶揄された時代である。
 とはいえ、この再現性都市は1850年を厳密に切り取ったものではなく、例えば80年代の事件であるはずの切り裂きジャックの噂が街をにぎわせ、その解決に実在すると思われていた創作上の名探偵の活躍が期待されていたり、ハイドパークではロンドン万博が年一で開催されている。
 つまるところ、ヴィクトリア朝ロンドンの集大成、と見てもらって間違いはない。公害のシンボルであった光化学スモッグの霧を完全再現するのは問題があったらしく、練達の技術で無害な霧となっているが、あの繁栄と同時に、霧の中に不安を齎していたロンドンの再現は、ほぼ完璧と言えるだろう。内部の人間も、自身はロンドンの住民たちだと信じて/或いはそのロールを楽しんで生活している。

 ……と、ここまでを見ていれば、ここはただの倫敦の再現だ。だが、倫敦を再現するにあたって、致命的なずれがある。
 この都市に、バッキンガム宮殿は存在しない。
 セント・ジェームズ・パークとトラファルガー広場に通ずる大通りを抜けて現れる宮殿は、些かファンタジー色の強い、不思議な宮殿である。
 君臨する女王はヴィクトリア女王ではなく『ハートの女王』なる存在である。これはロンドンの住民たちにとっても謎の存在であって、精々「癇癪もちで、いつも首を刎ねろと言っている」ことくらいしかわからないという。
 なるほど、確かに言われてみれば、街中にいる官憲や衛兵たちは、トランプのスートをモチーフとした紋章をつけているし、住民たちはそんな彼らを「トランプ兵士」と呼んでもいる。広場を見てみれば、兎の旅人が走り回り、奇妙なお茶会が繰り広げられていることにも気づくだろう。

 何故、そのような差異が発生しているのかは不明だ。一説によれば、観測者と呼ばれた何者かの干渉によるともいわれているが……。
 或いは。この都市は、誰かが見た幻想が、現実に現出した都市なのかもしれない……。

  • 虚実混沌都市・『再現性倫敦一八五〇』完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別設定委託
  • 納品日2021年11月04日
  • ・ライ・リューゲ・マンソンジュ(p3p008702

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