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bliss
登場人物一覧
名前:シラス
種族:人間種
性別:男
年齢:20
一人称:俺
二人称:君
口調:だ、だよ、だよね
特徴:ラ・トゥール男爵家召使い、当主代行カラス・ラ・トゥール付き執事
設定:
伝承貴族ラ・トゥール男爵家はフィッツバルディ派である。派手な金髪の男爵には優秀な跡取り息子カラスが居た。
カラスは本妻の息子ではない。ラ・トゥール男爵は召使いの娘にお手付きをし彼を生ませたのであった。
男爵と容姿がよく似ていたカラスは本妻との子として扱うことを決めた。
子を取り上げられる事を渋った召使いの娘には適当な男を宛がい、子を産ませたのだという。
ラ・トゥール男爵家に仕えた召使いの娘が『男爵の命令で産み落とした子供』がシラスである。
彼とカラスは半分のみ血の繋がった兄弟である。
カラスはその真実に気付き、実の母を丁重に扱うようにと父へと願い出た。シラスが12歳の頃の話である。
利発で気配りの出来た自身の召使いシラスが弟である事を知ってしまったからには彼を召使いとしてではなく、ラ・トゥール男爵家の次男坊として公認して欲しい――と。
だが、その願いは叶わずに終わる。
美しいだけが取り柄であった召使いの女を妾にし、カラスの産みの親である事が知れることを本妻が拒絶したのだ。
本妻の怒りが再燃したことで母はマコと名を変えて下町での生活を余儀なくされた。
退職金として申し分ない程度の手切れ金を渡され、ラ・トゥールの領地に立ち入ることを禁じられたのだ。
母への仕打ちに怒り狂ったシラスはラ・トゥール男爵へと直談判を行ったという。
「此の儘お前も母を追いかけていけば誰が母を養うんだ?」
「僕には何の学もありません。兄さん……いいえ、カラスさまが教えて下さいますか」
カラスは自身とシラスの関係性を2人だけの秘密として打ち明けた。
何時の日か、カラスがラ・トゥール男爵となった日にはマコを必ず迎えに行き、シラスを弟として公表すると誓って。
シラスはその誓いを母にだけ告げ、使用人達に仕送りを毎月持たせることを約束した。
そうして8年の月日が流れ、シラスはラ・トゥール男爵家の筆頭執事としてカラスに仕えていた。
虎視眈眈と当主の座を狙い代行を行うカラスと共に幸せな己の人生を切り開くことを願っているのだ。
……下町で、母がどのように暮らしているかを、彼らは知る事は無い。