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魔法騎士セララ 第三巻『セララとステキなアイドルライブ』

登場人物一覧

セララ(p3p000273)
魔法騎士
セララの関係者
→ イラスト

 路上ライブを開く地下アイドル。チラシを配るメイド服女性。リュックサックからポスター生やしたチェックシャツの男たち。
 そんな彼らがひとつの社会を形成しているここは秋葉原電気街。
 赤いリボンカチューシャをつけた少女が、クレープ片手に大きなビル広告を見上げていた。女子高生がアイドルグループを結成してなんやかんや地球が滅ぶアニメの広告、だとおもう。
「みんなアイドル好きだなー」
 さいごのひとかけをあーむと頬張ると……。
「セララちゃーん! セーララちゃーん!」
 片手にもったスマホで連写しながら駆け寄ってくる黒髪に眼鏡の小学生。
 呼ばれたセララは紙ごみをポケットにくしゃっとしまうと、彼女のほうへと振り返った。
「みちよちゃん、それにミストちゃん!」
「略さずミストルティンって呼びなさい! 何度言わせるのよ!」
 みちよの横を歩いていた黒髪にツインテールの少女ミストルティン。
 彼女は腰に手を当てると、セララをキッとにらみ付けた。
「また買い食いなんてして。そんなことでいいの? 私はもう聖石を二つもゲットしたのよ」
「そんなに……!?」
 手を広げるミストルティン。身を乗り出したセララに見せつけるように、青と緑の石を浮かび上がらせた。
 淡く光る石からは魔法の力がほわほわとたちのぼり、持っているだけで力が漲るというのも納得のキラキラさだった。
「この分だと、私のほうが先に石を集めるかもしれないわね」
「むむむ……っ」
 セララは頬を膨らませ、ミストルティンに顔を近づけた。
 そして、にぱっと笑いかける。
 頬を真っ赤にして驚くミストルティン。
「うんっ、競争ね! ミストちゃん!」
 頬に手を当ててその様子を激写しつづけるみちよ。
 セララはえへへと笑った。

 ――魔法騎士セララOPテーマ『ドキドキの魔法』とスタッフクレジットをお楽しみください。

『私セララ、小学五年生!』
 秋葉原電気街から駅を挟んで反対側。
 秋葉神社の境内へとやってくるセララと、見届け人として追いかけてきたみちよとミストルティン。
『ちょっと食いしん坊なだけの普通の女の子だけど、ホントは……』
 境内で巫女さんと神主さんの格好をして待っていた二人の女子小学生が、サカキと竹の扇子をセララへと突きつけた。
「私たちの挑戦から逃げなかったことは褒めてあげましょう!」
「聖石をかけて、いざ尋常に――!」
「「勝負!」」
 神卸によって魔法巫女サラスヴァティと魔法神主イヒヨリヒコが変身。
 対するセララはポケットからカードを取り出し、天に掲げた。
「受けて立つよ! ――インストール! マジックナイト!」
 西洋風のマントとシャツ、そしてスカートによる魔法騎士モードへとチェンジしたセララは、靴から広げた光の翼を羽ばたかせて空を飛んだ。
 対抗するように空へ舞い上がった二人の魔法少女とにらみ合う。
 青空をターンし、両手を広げるセララ。
「来て、ラグナロク! ライトブリンガー!」
 はるか空の彼方から飛んできた二つの剣。赤い刀身から魔法の光をふたふりをそれぞれ握り込むと、扇子とサカキによる二人がかりの打撃を刀身によって受け止めた。
 が、直後に巻き起こった激しい突風。
 セララはあおられ、飛行のバランスを崩してしまった。
 くるくると回転しながら落ちていくセララ。
「わわわっ……!?」
「セララちゃん!」
 みちよが悲鳴をあげるが、ミストルティンは黙って腕組みをするだけだった。
「巫女さんには巫女さん、だよね!」
 セララは落ちながらカードを取り出し、赤い光で包み込んだ。
「インストール、巫女さん!」
 たちまち赤と白の巫女さんモードにチェンジしたセララは、巨大な神楽鈴を振り込んだ。
「かんなぎすいんぐ!」
「ひゃっ!?」
 激しい嵐が吹き荒れ、追撃のために降下していた、魔法少女たちが飛行制御を喪った。
 きりもみ回転し、境内の石畳に墜落する魔法少女たち。
 といっても、魔法に守られた身体はすっかり無事で、頭にバッテンの絆創膏がついただけだった。
「きゅう……」
「ま、負けました。墜落しながらも咄嗟の機転……さすがは秋葉原の魔法少女です」
 敗北を認めた二人の胸元から黄色とオレンジの光がのぼり、セララの手の中へと収まった。
 光は聖石となり、手にぎゅっと握られる。
 セララは振り返り、ミストルティンに石を握った拳を突き出した。
「ミストちゃん! これでいっしょだね!」
「そっ――コホン! 名前を略さないで! だいたい――」
 喋り始めたミストルティンを無視するように、ひらひらと落ちてきたチラシをキャッチするセララ。
「あれ、なんだろう? えーっと……『魔法少女インターネット人気投票バトル』!?」

 説明しよう! 魔法少女インターネット人気投票バトル通称『魔法少女総選挙』とは――!
 全国から集められた12人の魔法少女たちが己の持つ聖石を賭けて戦うアイドル選挙なのだ!
 参加料金は手持ちの聖石すべて! そして選挙の勝者は、集まった聖石を全て獲得する権利を得るのだ!
「投票期間は今から一週間☆ それまでどんな方法を使ってもいいからネット投票を一番あつめた人の勝ちだよ!
 終了前日まで沢山票を集めても……まだ安心できないよ!
 最終日には武道館で魔法少女ライブを開催します☆
 ライブの結果次第では大逆転が巻き起こるかも!?
 みんなー! 歴史的瞬間を見に来てねー!」

 ……という、一連のCM映像をタブレットPCに表示してから、虹色の髪に星形の髪飾りをつけた女子小学生がセララの前に立っていた。
「私は綺羅星ヒカリ! 魔法少女アストライアよ!
 魔法騎士セララ! そして薔薇の魔法少女ミストルティン! 私の挑戦、受け手貰う――わ☆」
 決めポーズとウィンク。目の中に『☆』を浮かべたアストライアは、横ピースの姿勢で停止した。
「え……っとお」
 場所は小学校の教室。
 それも机の上に(ちゃんと上履きを脱いで)立ち上がった状態で停止したアストライアを、セララと机をあわせて給食を食べていたミストルティンが言葉に詰まったように見上げていた。
「……こほん」
 咳払いして机から下りるアストライア。
 タブレットPCにパワポ画面を表示させると、四人の魔法少女の顔アイコンを並べて見せた。
「今の聖石分布はこんな感じ。魔法騎士セララが3つ。魔法立花ミストルティンが3つ、魔法偶像アストライアが4つ、魔法悪女クルシェが2つ……。
 微妙にバランスが悪いのよ。膠着状態に陥るし、クルシェが身を隠してしまって勝負にならないの。
 だから一発で勝負を決められて、かつ魔法少女の実力が影響しない人気投票で決めちゃおうってわけ! あとこの機会にアイドルデビューを果たして夢の武道館コンサートも実現しちゃおうって、ハラよ!」
「正直すぎない?」
「ふふん……」
 アストライアは虹色の髪をぱっとかきあげた。
「私は自分の願いは自分で叶えるって決めてるの。聖石はそのエサにすぎないわ。セララ、ミストルティン。あなたたちはどう?
 石ころなんかに踊らされて、願いごとをよそさま任せにしちゃうつもりかしら?
 それとも人気投票に挑んで、自力で力を勝ち取るかしら?」
 挑発的ホーッホッホと笑うアストライアに、ミストルティンが腕まくりで立ち上がった。
「なによ、そんな挑発――」
「受けて立つよ!!!!!!」
 遮るように立ち上がり、セララ目に『☆』を浮かべた。

 その二日後。
「受けてたっちゃったーーーー!!」
 ミセドの店内で机に突っ伏すセララの姿がそこにはあった。
 向かいの席でスマホをいじるみちよ。
「すごいね、アストライアって子。いくつものテレビ局と交渉してCMを流したりバラエティ番組にでたり……日本中をまわって一日三回もコンサートを開いてるんだって」
「武道館コンサートなんで開けるコネがある子にメディア勝負を挑んだら不利にきまってるよー!」
 突っ伏したままばたばたするセララ。
 アストライアはとんでもない得票数を既に稼いでいたが……スマホ画面をスワイプするとミストルティン結構な票数を得ていた。
「ミストちゃんはユーバリチューブにチャンネルを開設したりチュイッターやインスタスタグラムにアカウントを作ったりして地道にファンを増やしてるみたい。元々地元の愛知ではアイドル的存在だったから普及活動も活発だったんだって」
「油断してた……! ミストちゃん意外とこういうの真面目だった……!」
「セララちゃんは……」
 もっかいスワイプしてみると、目をバッテンにしたセララの顔アイコンと『5票』っていう死ぬほどむなしい数字が表示されている。
「パパもママもチュイッターとかチャンネル開設とか許してくれないんだもん!」
「そ、そうだね……」
 女子小学生に動画配信チャンネルを持たせるとどうなるかくらい、秋葉育ちの大人はよく知っている。それをみちよもなんとなく察していた。
「こうなったらボクも動画を配信するしかないよ! みちよちゃん手伝って!!」
「そ、そんなこと言われても、わたしそのえっと……あっ」
 すがりつくセララ。手からこぼれ落ちるスマホ。
 表示される『セララちゃんねる』というページ。
 最新動画では魔法巫女たちと空中戦を繰り広げるセララの勇士が流れていた。
「みちよちゃん?」
「……えっと」

 快進撃が始まった!
 みちよが本人にナイショで全国公開していたしていたセララ動画チャンネルとインスタ写真にまさかの本人公認事件が発生し、ネットは騒然、セララ自身によるチュイッター発言は激しい拡散効果によりトレンド入りしその日のうちに爆発的人気が巻き起こった。
 動画チャンネルで公開したホラーゲーム実況動画では骨董品化した8ドットコンピューターゲームに只管絶叫し続け上下左右の移動にすら叫ぶという有様がバズりMAD動画が作られクソコラされセララ絶叫ハンマー動画がついでにバズった。
 情報は瞬発力の時代。インターネットで拡散されまくったセララの得票数はうなぎなぎなぎ、いつのまにかアストライアに並ぶ勢いになっていた。
 そして迎えた、運命の武道館ライブ!

「しまったーーー!!」
 みちよが両手を地面について絶叫した。
 両手とハチマキにサイリウムをさし『Iラブ(ハート)セララ』のハッピをきた所で、セララが歌も踊りもほとんど練習してこなかったことに気づいたのだ。
「最後の勝負がきまるライブに全然準備できてないよ。セララちゃんすっごく可愛いけどこんなステージ初めてだろうし……それに相手は……」
「みんなー☆ きてくれてありがとー☆」
 花火や最新映像投影技術によって派手派手にもりまくったアストライアのライブ。完成されきったライブ風景に誰もが圧倒された。
 ミストルティンも負けてはおらず、地元愛知から駆けつけたミストちゃん親衛隊による人力パフォーマンスによるライブで底力を見せつける。
 でもって風邪引いてライブを病欠したというクルシェに肩すかしをくらいつつも……ついにセララの出番がきてしまった。
 秋葉原電気街から駆けつけたセララフレンズの皆さんがスポットライトで照らす中、セララは一人、マイクを手にステージへ立つ。
 静寂。
 息を呑む。
 セララは懐から取り出した一枚のカードを、武道館の天井めがけて突き上げた。
「――インストール、アイドル!!」
 はじけるスパーク。始まるイントロ。
 飛び出す秋葉ダンサーズを率いて、セララは圧倒的な歌とダンスを見せつけた。

 ――『キラッてセララ(DVD収録)』のライブ風景をお楽しみください。


 ライブ終了。巨大スクリーンに表示された得票数を見て、皆は声をあげた!
「優勝は――魔法騎士セララさんです!」
「やったー!」
 飛び上がるセララ。
 十二色の聖石が輝きを帯びて飛び上がり、セララへと集まってい――こうとした、その時。
「油断大敵」
 大きな鎌に跨がった魔法少女クルシェが、全ての石を黒いオーラで包み込み、奪い取ってしまった!
「そんな! ずるい!」
「優勝したのはセララちゃんよ!」
「卑怯です!」
「あら、私には最高の褒め言葉ね。だって私は……」
 聖石の力を全て吸収して、クルシェは武道館の屋根をフィンガースナップひとつでなくしてしまった。
「『悪の魔法少女』なのだから!!」

 聖石争奪戦を制し全ての石を手に入れた『悪の魔法少女』クルシェ。
 魔法少女大戦は、ついにクライマックスを迎える……!

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