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SS詳細

もうひとりのリズリー・クレイグ

登場人物一覧

リゼ(p3x008130)
熊大将
リゼの関係者
→ イラスト

名前:リズリー・クレイグ
種族:ブルーブラッド
性別:女性
年齢(或いは外見年齢):28
一人称:アタシ、私
二人称:アンタ、呼び捨て、貴様
口調:だね、だよ、かい?/だ、だろう、だな?
特徴:大柄、軍人風、獣耳

ヴィーザルの英雄部族ベルゼルガ唯一の生き残り。
類い希なる身体能力とカリスマ故に英雄部隊に加えられ、ノーザンキングス連合として皇帝の座をめぐる内乱に参戦した。
元は豪放磊落で明るい人柄だったが、『ザーバインパクト』の戦いのさなかにクリミナルオファーの侵食を受け反転。
亡き部族を再興するべく連合の長老たちを殺害。『ノーザンキングス連合王国』として独立を宣言し、己の軍隊を作り上げた。
胸には殺害した長老たちの部族を示すシンボルが飾られ、ノーザンキングスを統べる者であることを象徴している。

その目は復讐の闇に沈み、部族を奪った鋼鉄帝国への憎しみと怒りに満たされている。
帝国を物理的にも社会的にも破壊し尽くし、瓦礫の上に己の部族を作り上げようと画策している。
その根底には『他者とは決してわかり合うことなどできない』という諦観と絶望があり、そういった意味ではベルゼルガ部族の暗黒面のみが浮かび上がった姿とも言えた。

ベルゼルガの教えを忘却しており、憎しみに満ちた暴力は弱者や貧しき者にも容赦なく向けられる。
巨獣化能力を失った代わりに超人的な身体能力をもち、サーベルを用いた剣術に優れる。
ただしこれらは力を制限した際の戦闘能力であり、ひとたび力を解放すると巨大な狂獣となり有象無象の区別なく全てのものを破壊し尽くしてしまうだろう。


かつてベルゼルガの部族はヴィーザルの奥地に引きこもり、狩猟と鍛錬のみをして過ごしてきた。
己の精神を高めることが幸福と豊かさをもたらすという教えであり、物質的豊かさを求めない姿勢もまた外の世界への接触を断ち続ける理由にもなっていた。
だがあるとき、資源不足を解消するというだけの目的で鋼鉄帝国がヴィーザルへと侵略を開始。多くの部族を抹殺、または奴隷として併呑し、あらゆる資源を喰らい尽くしていった。
ベルゼルガ族もこの侵略に抵抗し多くの兵を屠ったが、帝国の圧倒的軍事力と狡猾な戦略によって壊滅。部族の人間はリズリーを残し抹殺されてしまった。
リズリーが残ったのは、ほんの偶然、または奇跡的幸運にすぎない。

  • もうひとりのリズリー・クレイグ完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別設定委託
  • 納品日2021年10月15日
  • ・リゼ(p3x008130
    リゼの関係者
    ※ おまけSS『王の誕生』付き

おまけSS『王の誕生』

 ノーザンキングス連合を代表する三つの部族。
 ――戦闘民族ノルダイン
 ――高地部族ハイエスタ
 ――獣人族シルヴァンス
 彼らはある共通の問題を抱え、集会場にて顔をつきあわせていた。
 広い板間に囲炉裏がひとつ。等間隔にはなした麻製の敷物にひとりずつ腰を下ろし、たがいの顔をそれぞれ観察している。
「首都スチール・グラードがゼシュテリウスの手に落ちた。もはや次なる皇帝の即位は確実であろう」
 そう切り出したのはノルダインの長老ヴルヴォン。3mにも達する巨躯と、常人をローストチキンのごとく引きちぎりそうな太い腕をもつ文字通りの豪腕である。
「ヒヒヒ、ならその者を殺せば良いだけ。わざわざ我らがこんな場所で辛気くさい顔をつきあわせる必要もあるまい」
 対して歯を見せて笑ったのがシルヴァンスの長ゲーデンスベン。アライグマかタヌキのような姿をしており身長も1mとない小柄さだが、知識は豊富で兵器開発において高い能力をもつ。ノルダイン相手に対等の立場を保てるのは、彼らが武器を開発し供与しているからだ。
「私に言わせないで頂きたい。『殺しても死なない』から問題なのでありましょう?」
 顔をしかめて苦々しく言ったのはハイエスタの長ホランドコット。ヴルヴォンほどではないが背は高く筋肉質で、白銀の鎧を纏った勇猛な戦士然とした男だ。その目には気高さと深い知性があり、この中の誰より理性的な雰囲気を持っていた。
 彼らこそが現在のノーザンキングス連合の代表。鋼鉄帝国皇帝の座を狙い結託した組織である。
 ゲーデンスベンはキヒヒと笑い、ヴルヴォンは舌打ちをした。
「イレギュラーズはたとえ殺したとて、すぐに復活する存在。奴らのうち誰かが皇帝となれば、鋼鉄帝国のルール上これまでのやり方は通じません」
「知らぬわ。その皇帝が泣いて謝るまで殺し続ければ良い」
「ノルダインはこれだから……」
 ゲーデンスベンが小声で呟くと、ヴルヴォンがその顔を睨んだ。おどけてみせるゲーデンスベン。
 ヴルヴォンが石のような大剣を手に取り、ゲーデンスベンが青白く光る魔銃をてにとった。ホランドコットが喧嘩を仲裁すべく立ち上がろう――とした、その時。
「ごブっ!?」
 胸から鋼の棒が突き出た。
 否。
 気配を殺しいつのまにか集会場に入り込んでいた何者かが、ホランドコットを剣で背から刺し殺したのだ。
 白銀の鎧を貫き、この勇猛な戦士を一撃で?
 瞠目するゲーデンスベンが咄嗟に銃を向けると、崩れ落ちたホランドコットの後ろから女が姿を見せた。
 死体から部族を示すシンボルをむしり取り、ポケットへとしまいこむ女。
「貴様……ベルゼルガ族のリズリー!? どういうつもりだ! 拾ってやった恩を忘れたのか!?」
 そう、リズリー・クレイグだ。
 血塗れの剣をさげ、歩き出すリズリー。
「忘れたと言ったら、どうするつもりだ?」
「ヒッ――!」
 思わず銃を発砲する。青白い光がリズリーめがけ撃ち込まれるが、剣のひとふりでそれを『切断』し、破壊する。
 そのまま距離を一気に詰めると、ゲーデンスベンの首を返す刀で切り落とした。
 彼の胸からシンボルをむしり取りながら、ヴイルヴォンへと振り向く。
 リズリーの表情には暗い絶望と、憎しみと、そして怒りがあった。
「貴様らは、ぬるい。鋼鉄の皇帝? ルールに則った即位? どうでもいいんだ、そんなクソは」
「ク、クソだと? 貴様誰に向かって口をきいている! 我こそは――」
 大剣を手に取り、名を名乗りながら斬りかかるヴルヴォン――は、目を見開いた。
 既にリズリーの姿はなく、背後に彼女はたっていた。
 そして、ずるりとヴルヴォンの首が落ちる。
「貴様こそ、誰に向かって口をきいている」
 落ちた首を囲炉裏に向かって蹴り飛ばすと、シンボルをむしり取って三つのそれを胸につけた。
「我はリズリー・クレイグ。
 今このときより、ノーザンキングス連合『王国』の王であるぞ」

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