PandoraPartyProject

SS詳細

アン・バゼット。或いは、盗賊姉妹の気骨ある姉…。

登場人物一覧

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽

名前:アン・バゼット
一人称:アタシ
二人称:アンタ
口調:~だよ、~だな、~さ
特徴:
肩まで伸ばした金の髪に、カウボーイハット、シャツにベスト、ジーンズを身に付け、革のブーツを履いている。腰に巻いたガンベルトには拳銃2丁と予備の弾丸。
背丈は165センチほど。満足に食えない期間が長かったせいか、背丈の割に身体は細い。
目つきが鋭く、口調が荒い。
メアリー・バゼットの双子の姉。

設定:
ラサを中心に長年の間、悪事を働いてきた元・盗賊。
幾つもの盗賊団を渡り歩いてきた熟練の悪党。騙し討ち、口八丁、実力行使と生き延びるためなら何でもやる悪辣な性格をしている。
彼女にとって、真に信頼がおけるのは妹であるメアリー・バゼットのみである。
それは、幼いころに親に捨てられ、2人だけで砂漠の国で生き延びて来た経験があるからだ。彼女は他人を信用できないし、今後もすることは無いだろう。
妹を守らなければ、という意識が強いため他者に対しては常に敵対心を顕わにする傾向にある。舐められたら終わり、という悪人世界での常識にすっかり順応してしまっているのだ。

また、彼女は銃の名手である。
幼いころに拳銃と弾丸の詰まった木箱を拾ったことが、彼女たち姉妹にとっての転機であった。彼女たちは生来の勘の良さと生きることへの貪欲さを遺憾なく発揮し、長い年月をかけて拳銃使いとして一流とも呼べる技術を身に付けた。
得意技は1秒のうちに6発の弾丸を撃ち込む、ファニング・ショット。

2度の交戦の末、ラダ・ジグリ(p3p000271)の管理下に置かれるようになった。
ラダの狙撃技術を高く評価していると共に、戦場次第では勝てるとも思っている。
用心棒や徴税役人などの仕事を割り振られ、いいように使われることに苛立ってはいるが、これまでにない安らかな生活を送れていることにある種の安寧も感じている。
また、妹であるメアリーがラダの管理下におかれた生活に不満を持っていないこともあり、今のところ逃走を図る予定はない。
働きぶりは決して真面目とは言えないが、荒事に対する適正が高いため周囲からの評価は良い。
ラダに対しては恨みと感謝の入り混じった複雑な感情を抱いており、機会があれば一緒に酒を飲みたいし、こてんぱんに打ち負かしてやりたいと思っている。

  • アン・バゼット。或いは、盗賊姉妹の気骨ある姉…。完了
  • GM名病み月
  • 種別設定委託
  • 納品日2021年10月15日
  • ・ラダ・ジグリ(p3p000271
    ※ おまけSS『砂漠の姉妹。或いは、パーティ・ナイトのその前に…。』付き

おまけSS『砂漠の姉妹。或いは、パーティ・ナイトのその前に…。』

 砂漠の中央にあるオンボロ小屋。
 今にも崩れそうなその家屋からは、暖かな火の明かりが漏れ出していた。
 『bar・badmoon』
 老爺の営むその店は、週末の夜だというのにひどく閑散としていた。
 客といえば、若い姉妹の2人だけ。ボトルに直接口を付け、ウィスキーを喉の奥へと流し込んで笑っているのが姉のアン・バゼット。グラスに丸い氷を入れて、チビチビと香りと味を楽しんでいるのが妹のメアリー・バゼットだ。
 流れるように言葉を交わすこの2人、既に店の開店から3時間は飲んで喋ってを続けていた。カウンターの向こうで煙草を吹かすbadmoonの店主は、そんな2人を観察し、おや? と内心首を傾げた。
「なぁ、あんたら……気のせいだったらすまねぇが、もしかしてお尋ね者じゃねぇか?」
 ぽつり、と。
 零したその問いに、姉妹はにぃといかにも悪辣な笑みを浮かべた。
 次の瞬間、言葉や視線を交わすこともないまま2人は同時に腰から拳銃を抜く。
「気付かれちゃ仕方ねぇ。バゼット姉妹を知ってんなら話は早ぇな……どうする爺さん。十分に長く生きたんだし、そろそろ冥途への片道切符を取りたい頃だろ?」
「今なら特別サービスです。チケット代はここのお酒と有り金全部でいかがです?」
 老爺の眉間に銃口を突き付け、バゼット姉妹はそう告げた。
 じろり、と老爺は鋭い目つきで突き付けられた銃を見やった。古い銃だ。そして、良く手入れされている。
 銃口から香る硝煙の臭いと、無数に付いた細かな傷から察するに、それは決して脅しに使うおもちゃとしての拳銃で無いことが分かる。
 しかし、まだまだ青い。
「やめときな。人を揶揄って遊ぶ暇があるんなら、酒を楽しめ」
「あん? これが見えねぇのかい、爺さん」
「おや? 銃が怖くないんですか?」
「殺気がねぇって言ってんだ。俺ぁこの道数十年のベテランよ。人を見りゃ、そいつの引き金が重いか軽いかなんてこたぁ、ひと目でわかっちまうのさ」
 なんて、言って。
 老爺は軽く手を振って、突きつけられた銃口を押しのける。
 バゼット姉妹は呆れたように溜め息を零し、銃を戻した。
「悪さもほどほどにしときな。この広い砂漠を棺桶にしたいってんなら、好きにすりゃいいがな」
 無造作にラム酒のボトルを掴んで老爺は言った。
 それから新しいグラスを2つ取り出すと、ラム酒を並々と注ぐ。
 バゼット姉妹は無言のままにグラスを取った。
 老爺の手にしたボトルの底と、グラスの縁がぶつかって、カキン、と高い音を鳴らす。
 2人はグラスを、老爺はボトルを傾けて、中身を一気に喉に流すと熱い吐息を同時に零す。
「んで、お前らよ……こんな砂漠の真ん中の、オンボロバーに何の用だよ。3時間も居座りやがって」
「こっちゃ客だぜ爺さんよ。待ってんだ、人を」
「客商売のイロハを知らないお爺さんですね。私たちはお仕事で来ているんですよ」
 そう言って2人は、バーの入り口へ視線を向けた。
「悪党どもが何の仕事をしようってんだ?」
 新しい煙草に火を着けて、老爺は問う。
 バゼット姉妹は顔を見合わせ、にぃと口角を吊り上げた。
「悪党狩りさ。ここらで暴れる盗賊を、雇い主と一緒に狩りに行くんだよ」
「蛇の道は蛇と言いますよね。悪党には悪党のやり方があって、私たちはそれをよぉく知っているんです」
 酒の残りを飲み干して、2人は同時に席を立つ。
 直後、カラン、とカウベルの鳴る音がした。
「すまない。遅くなったな」
 扉を開けて現れたのは、白い髪に褐色肌の女性である。
 ラダ・ジグリ。
 『剣砕き』の異名を取る、ラサの商人一家の娘だ。
「なんでぇ、おめぇら……捕まったのか?」
 呆れたような老爺は呟く。
 それから、2人を追い払うように手を振ると、くっくと肩を揺らして言った。
「今日のところは驕りにしといてやらぁな。今夜を無事に生き延びたなら、また酒でも飲みに来な」

PAGETOPPAGEBOTTOM