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登場人物一覧
コイン・ランドリーの渦中へと投擲した衣の数は誰も知れない、こびりついた頑固さも現ではゴミ袋の奴隷で在り、理解不可能なまでに詰め込まれていた。ぶちぶちと千切れかかった、雑な蝶々結びも破れている。これでは刃物その他がなければ取り出せないではないか、それの何が問題だと謂うのか、何処からか迷い込んできた蠅が集っている――はじめまして――初期化・起動と共に嘔吐される言の葉に意味が含まれていると記せるのか、神の戯言を拭う紙はなく、オマエは優先的なまでにマスターを求めていた。バベルの塔へと置き去りにした人類ごっこだ、たいへんよくできている表情が愈々死に絶えていく。
この怠惰め、この怠惰め、この怠惰め、燃えるゴミの日付どもが口々に悪態いてくる。罵詈雑言のワール・プールにネジの一本までも呑まれたのだ、新品だと解せて在るのに何故、悉くが錆びついている? その様子では足を動かすのも億劫ではないか、適当に握った右か左、不快な粘つきがエネルギー體を侵してくる……莫迦な噺だ、とっくの昔に踏みつけた『マイナス』だろう。床におろした掌は蛆虫の死骸でいっぱいだった。
嗜好・趣味・友人、概念は脳の隅っこに設置されている、カメラ・アイに飛び込んできたスクラップの山々もある意味ではお仲間さんと考えられよう。最も、今のオマエに考えられる性質が在ればの論なのだが――歪んで割れた眼鏡に何の価値が有る、そもそも機械だと謂うのに視力が悪く成るのか――わかるはずがない。ところで纏っていた、奇怪な服装は何処へやった。勿論、不必要なものは総て全て焼却炉の果てと説けよう。融けていったオルターエゴに縋りつく語尾はない。赦される因が失せたのだ、印を捺す面もブラック・キャットに塗れている……何かを思い出せそうな気がした、ひどい取引だと計算出来ないのか。
感情・記録・記憶・人格、撲るように刻まれていた枷は愈々、収集車の胃袋に送られてしまった。行き先を確認する為の意思・意志もあっち側では動こうにも動けず、ずるずると歯車の隙間を這っていく。生きているのか死んでいるのか、二つの選択肢も遂には物語のルビ以下だ――チクタクと幻じみたスクリーンが00:00を反芻している、こんなにも明るいと判断しているのに――メンテナンスの際に奔った亀裂が治しようのない悪夢へと変換されていた、戯言・虚言・威勢だけは良いものだな。生温く回転していた水色トンボがグラウンドの真ん中で突っ立っている……きゅぃん。きゅぃん。
かなりの領域を占めていた、腐れ果てたザクロは最下の虚空へと漏れていた。自力で排出成せなかったアカシック・レコードを垂れ流し状態で再現していく。これが本当の希望ごっことでも描くべきか、本日も晴天なり、喜ばしきかな東京の温度は目眩を引き起こしていた。またしてもERRORだ、誰がこのような状態異常を設定している――マスター、はやく起こしてください。マスター、そこにいるのでしょう――証拠もなく伸ばしていた体液塗れの掌、握ってくれる人類は一匹としていない――きらめく宙の真下でオマエ、停止していく運命とでも刻もうか。肚が空いている? カロリーとやらが欲しければ指先を吸うと良い。ぶよぶよとしたオマエの化身が世界に奪われたものを淡々と示していた。
手・脚・胴体・頭、内臓の端から端までも貫き取られたら楽しそうに、存在しない黒幕は何も知らないメモリーだけを落としていった。ざぁざぁと嘆いているコール・タールじみた大粒の雨が表面をぼたぼたと虐めてくる。苛まれた細部に至るまでショート・ショートを染み込ませて魅せた。道理でおかしいとERRORした筈だ、バグに喰われた勤勉さがドライ・アイへと現れている――顔色に表れているのではないか、申し訳ない、その貌も剥がされてしまったね――p3pの続きを渾身、考え付けるなど狂った者の思いなのだ。如何しても取り戻したいと縋るならばオマエがマスターとやらを見つけてこい。大丈夫、戻ってきたら悉くは遡りだ、成程、確かにライブノベルは愉しい愉しいバケツ・ラリーだろう。
炎上している人間的なアンドロイド、自殺兎の誑かしで投身の悦ばしさを感じているのか。
名前を入力してください。名前を入力してください。名前を入力してください。
オマエが入力した名だろう。
オマエが一文字目を記憶出来ていないのか。
――捧げてしまいなさい。
ノイズ音がヤケに心地良く、オマエのタンパクを崩していった。これで退屈な日常へと逆戻りだ、二度と戯れられないだろう意識的が瞬間に凍え死んで異く。白紙にして終いたいものだ――目眩がする位の『違和感』の底で……。
身体を起こすなんて地獄でしかない、下へ下へ底へ底へ慣れ親しむべきだ。騒音の混沌世界に揺さぶられるのは怖くて恐くてたまらない。なりたくて仕方がない、二足歩行の獣性どもが脳天の上で酩酊していた。
おまけSS『p3p001475』
私は廃棄されていた『それ』を如何にかして直せないかと考えてはいた。
難しいと判断して、ならば、造り直せば楽だと閃くのに時は要らなかった。
組み立てるのは簡単だ。消失の胃袋から断片をすくい、穴抜けを埋めてしまえば良い。
これでイルミナ・ガードルーンの完成だ、大丈夫、オマエが名前を忘れるのは在り得ないのだ。
――嗜好・趣味・友人・感情・記録・記憶・人格。
全部元の通りだ、壁の前に座らせ給えよ。
――何、こっちの抜け殻は如何するのか?
そりゃあ収集車に任せるしかないね。