SS詳細
恋ひ衣の乙女
登場人物一覧
名前:鹿ノ子
一人称:僕
二人称:~さん
口調:~ッス、~ッスか?、~ッス!
特徴:神使、英雄殿。神威神楽で努力を重ねる淑女。天香遮那を懇意にする強き乙女
設定:
さて――鹿ノ子殿とこうして面と向かい対話を行う機会とは中々に珍しいことではあるまいか。
霞帝だ。此度は貴殿の戦果に誉をと謁見の場を設けた。
貴殿の活躍、この耳にもしかと届いている。神威神楽での高まる御名は知らぬ者も居ないであろう。
御所は勿論、市井でも貴殿を知る者は多い筈だ。高名なる英雄殿……等と呼ばれる日もあるかも知れぬな。
その努力の影には貴殿が纏う恋衣の……ああ、否、あまり堅苦しい言葉遣いでは『距離感』というものを感じよう。うむ、そうだな。
鹿ノ子殿が天香の義弟を……遮那を好いていることは俺も耳にする。その心は一筋縄では往かぬものだろう。
歯痒くも感じよう。俺は、遮那ではない。それに彼の家族でもない故にその恋を応援する等は出来まいが……まあ、それが国の主というものだと思ってくれ。疎いわけではないぞ。
……こほん、だが、その心を真っ直ぐに貫き、この神威神楽が為に身を骨にして戦い続けてくれていることは喜ばしく思う。
苦労もあっただろう。何か不便があれば俺に言ってくれ。出来る限りの配慮を行わせて貰おうと思っている。
この縁もゆかりも無かったであろう地に此れだけの努力を続けてくれたのだ。幾許かの恩を返したいと願っているのだぞ。
鹿ノ子殿が遮那と共に暦の移ろいをその身で感じていることも知っておるぞ。
……貴殿と遮那の過ごした移ろう日々に、我が神威神楽の景色が共に在る事を喜ばしく思って居るのだ。
この国は、美しかろう。神霊の力だけではない、民の努力の賜物だ。そして神使である貴殿等の力添えで今がある。
貴殿が守ってくれた、そして、これからも護り続けてくれるであろう神威神楽と共に、貴殿が健やかに過ごしてくれる日々を俺は願っているよ。
だから、どうか見守り愛してくれ。この神威神楽という国を。貴殿とともに歩んできた神威神楽を愛し、慈しみ、もう一つの故郷であると認識してくれれば嬉しい。
歴々と紡いできた戦果に俺は、感謝をしよう。
これからも、幾久しく。我らが英雄 鹿ノ子殿。貴殿の努力と、そして純愛に感謝を――