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SS詳細

痛みこそ希望/絶望

登場人物一覧

フレイ・イング・ラーセン(p3p007598)
フレイ・イング・ラーセンの関係者
→ イラスト

名前:『終わりなき贖罪』ノルン
種族:スカイウェザー
性別:女性
年齢(或いは外見年齢):18歳
一人称:私
二人称:あなた、~様(対フレイ)兄様
口調:です、ます、でしょう、ですか?
特徴:白髪に褐色肌。四対の白翼を持つ。赤と灰のオッドアイ。体の随所に古い傷痕。
設定:
母方に海洋のスカイウェザーの有力氏族『白翼の一族』、父方に深緑のハーモニア『白き枝族』の親を持つ少女。
フレイと直接の血縁はない。
元々は黒髪であり、褐色の肌と黒髪は『白き枝族』で忌み嫌われ、幼い頃に『罪の浄化』と称して森の深部に監禁された。
その頃に受けた身体への傷は左目から、心への傷は髪から色をそれぞれ奪い、結果として『黒髪は罪の証』『森による罪の浄化』の生き証人となった。
監禁中に同じく一族から嫌われていたフレイと出会い、親近感から『兄様』と呼び慕う。
今も理由無く自由には行動できないが、時折失われた『色』が疼く。

ギフト:
『贖罪の魔眼』
刻まれた痛みは呪いとなり、色なき魔眼となった。
彼女はあらゆる希望を諦め、理不尽に折れたはずだった。
でも、もし叶うなら。許されるなら――。
その魔眼が、24時間以内に訪れる未来に希望を見てしまった時。絶望的な痛みがその身を蝕む。
ごめんなさい。私は生きているだけで罪深いのです。

「いいえ……気にしないでください。痛くはないんです、今は」
「私は、ここから出られないので……お願いしてもいいでしょうか」
「兄様……来て下さったので、……――ッ!!」
「何も望めない……望まない……私に許されたのは、それだけです」

おまけSS『贖罪の魔眼』


 私には、『兄』と呼べる人はいませんでした。

 家族は、いたのだと思います。
 私は植物ではないので、土から生まれた訳ではないのでしょう。
 獣ではないようなので、森の動物達とも違うらしいのですが。
 一番古い記憶でさえ、既に父も母もありません。

 鳥籠のような私の部屋に訪れるのは、私に痛みを与えて罪を教えてくれる人でした。
 黒い肌に黒い髪。私がそれらを持って生まれたのは、魂に罪があるからだと。
 その罪を償う方法は、死にながら生きること。あらゆる痛みを受け入れて、あらゆる望みを捨て去って、苦しんで生きることでしか許されない、と。
 他に否定する人もなかったので、私は疑うこともなく受け入れました。いつからそうだったのかは思い出せませんが、自分がかつて黒髪だったことを覚えていない程度には、色々とあったようです。

 色々、の中には。『兄様』との出会いもあったのだと思います。
 兄様は、痛みを与えない人です。私と同じ赤い目を持つ人で、かつての私と同じ黒髪の人でもあります。
 どのように出会ったのかは思い出せませんが、痛みを与えずに話をしてくれる兄様は不思議だと思いました。
 痛みがなくても、人と話していいのだと知りました。
 兄様が話をしてくれる時間は不思議なことだらけでしたが、苦痛ではありませんでした。
 ――長く続いて欲しい、とすら。思ってしまったのです。

 きっと、これも私の罪なのです。
 ある日、兄様の片眼が青くなっていたのは。

 兄様と会うことなく、私はその姿を知っていました。
 同時に、既に色を失っていた片眼が痛くてたまりませんでした。
 体のあらゆる表面が、生きたまま虫喰いの葉のように蝕まれていくようでした。
 このままでは本当に死んでしまう。死んだら罪を償えない。
 ごめんなさい。兄様との時間を望んだりしたから。
 ごめんなさい。ごめんなさい。この痛みも。兄様の目も。私が兄様を望んでしまったから。
 私は痛いだけでいいですから。痛くない事は望みませんから。
 生きているだけで罪深いのですから。

 全てを諦めて、ようやく痛みが引きました。
 それでも、私はまた望んでしまうのかもしれません。
 兄様は、私に痛みを与えない人。この鳥籠の希望であることは事実なのですから。
 その兄様を思う度。少し先の『希望』を見てしまう度。
 この眼は私に痛みを与える罪を教えるのでしょう。

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