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それは誰かを守る為
登場人物一覧
名前:楠 忠継
種族:獄人
性別:男性
年齢:享年39歳
一人称:俺
二人称:~殿、主(ぬし)
口調:だ、だろう、~か?
特徴:天香家の忠臣。遮那の剣術の師。安奈の夫。
設定:
「兄様、忠継殿はどのような方なのですか? 瑠々はあまりお話をしないので」
「忠継か? そうだのう。私の剣の師匠だ。とっても強いぞ」
幼い瑠々を寝かしつけながら遮那は微笑んだ。
楠忠継はその昔、妹の命を天香長胤に助けられた。
その恩義から護衛として天香邸に住むようになったらしい。
「どのぐらい強いのですか? いっぱい? 遮那兄様より強い?」
「ああ、もちろん私より、うんと強いぞ。何せ中務省で帯刀長を勤めていた程の剣の達人だからな」
「たちはきのおさ?」
瑠々は遮那の顔に瞳を向けこてりと首を傾げる。
「偉くて強い」
「えらくてつよい! えへへ、強い方なのですね。でも兄様より強いなんて信じられません」
瑠々は遮那にぎゅうと抱きついて『いやいや』と首を振った。
その瑠々の仕草に愛おしさを覚え、遮那は少女の背を抱きしめる。
トントンと幼子をあやす様に背を叩き。
「先日、この屋敷に襲撃があった」
「え? いつですか? 瑠々知りません。怖い」
「大丈夫だ。その時に真っ先に敵に斬りかかり、打ち倒したのが忠継なのだ。この天香に仇を為す者は許さぬと即座に成敗してくれた。寝ている瑠々が気付かないぐらい素早くな。どうだ? 頼りがいがあるだろう?」
少し誇らしげに微笑んだ遮那に瑠々も嬉しくなって頷く。
「はいっ! とても頼もしいのです。会ってお話をしてみたいですね」
「そうだのう。普段は警護の任務で動き回っておるし……瑠々が剣の稽古を始めるなら会えるかもな」
「剣の稽古ですか? 瑠々、やりたいです!」
瑠々は顔を勢い良く上げ遮那にキラキラとした緑瞳を向けた。
その夢は叶い、瑠々は忠継に手解きを受けるようになる。
数度、十回にも満たない修練。
けれど瑠々の心に刻み込まれた剣の教えは芽吹く。
「いつか、忠継師匠みたいに強くなって、遮那兄様をお守りしたいです」
「それは頼もしい。若殿も瑠々殿のような妹御が居て、さぞ嬉しかろうな」
「いや、瑠々よ。流石にそこは兄である私が其方を守るべきであって……」
道場に笑い声が、長く長く響いていた。