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『仮音』
登場人物一覧
名前:仮音(かのん)
種族:旅人(両親がウォーカーであった)
性別:女
年齢:unknown(16歳であろうと想定される)
一人称:あたし
二人称:あなた
口調:です、ます、ですか
特徴:侵略性エインセル患者、澄原病院に保護されて居る、記憶が無い
設定:
再現性東京2010街、希望ヶ浜に存在する澄原病院の『夜妖専門・診療科』に入院(保護)中の少女。
悪性怪異:夜妖<ヨル>である侵略性エインセルに憑依されていた元・夜妖憑き。イレギュラーズの活躍により保護されたが、彼女の記憶は夜妖に食い尽くされ自身の出自は愚か名前さえ分かっては居ない。
目が覚めてその現実を目の当たりにした彼女は自身の何も分からないことに絶望した。
両親も居ない。自身が母と信じていた存在は母で無かった。自身が信じていた名前さえ、本来の名では無かったのだ。
しづかと名乗ることは愚か、しづかの母『真優美』を「お母さん」と呼ぶことも出来ない。その記憶が断片的に存在しても、偽りである事を知ってしまった。
残されていたのは見ず知らずの罪。侵略性エインセルによる後遺症――記憶の喪失。空っぽになっていた体だけだった。
ストレスで髪は真っ白に染まり、生来の色彩であったのだろう萌葱色の瞳には生気が宿ることはない。
ただ、昼顔が仮で与えた『仮音』という名前が彼女の現在の呼び名である。彼女に言わせれば「新しい名前を、頂いた方が良いのかも知れない」との事だ。
澄原晴陽は彼女の居所が病院の儘では忍びないと引き取り手を探していたらしい。
ローレットトレーニングの際に仮音の保護を検討した昼顔が正式に引き取るというならば、彼女に『新しい名前』を、そして『居場所』を与えてやって欲しいと乞うた。
無論、その為の支援は行うと晴陽は進言した。仮の住まいとして仮音の保護のためにアパートを一室。家具も揃えて置いた。
昼顔さえ良ければ時折彼女の面倒を見てやって欲しい、と。新しい名前で、彼女を希望ヶ浜学園に通わせてやりたいのだと晴陽は乞うたのだった。
此れから、積み重ねていこう。
そう誰かが言っていた気がする。
あたしが誰なのか。あたしは、どうやって生きていくのか。
それを――今から、また『憶えて』いきたい。