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寵姫と呼ばれた傀儡師
登場人物一覧
- 陽炎の関係者
→ イラスト
名前:今園 章
種族:精霊種
性別:女性
年齢:16
一人称:私
二人称:貴方
口調:ね、だわ、なのだわ
特徴:傀儡師、霞帝の姪御
設定:
賀澄の義姉たる日和は病弱であった。八百万の青年と婚儀を結び、章を産み落としたが流行病に倒れ二人とも亡くなってしまった。
残された章を娘同然に可愛がり、章自身も物心ついた頃から父代わりであった賀澄を『父上』と呼び慕う。賀澄自身は「賀澄叔父さん」で良いと遠慮をして居たが……。
彼女の存在を知る者は少ない。何故ならば、章こそが賀澄の弱点に成り得るからだ。日和の没後、残された愛娘は名も知られぬ貴族の養子になったと公的には残されている。
長胤は賀澄の心配を察し、章を御所ではなく天香の離れ屋敷で伸び伸びと過ごさせた。お忍びで訪れる賀澄を「ご褒美」として章は懸命に勉学に励んだそうである。
その甲斐もあってか、彼女は立派な傀儡師となった。その技能は自身の身を守るためにと学んだモノであったが現在は別の事に使用されている。
それは章の暮らしぶりを心配した賀澄が派遣していたお庭番衆『暦』の頭領・鬼灯との出会いが切欠である。
日々の章の様子を確認し、帰って行く鬼灯に章は思いを募らせた。一目惚れと行っても言い。彼の存在を認識したのは屋敷に賊が侵入した際だったからだ。
喩え主上の命と言えども身を挺してでも自身を守ってくれる男性が目の前に居た。章は彼の戦い振りに恋に落ち、直ぐさまに叔父に打診したのだ。
「父上、わたしは鬼灯くんの奥さんになるのだわ!」
姪の突然の宣言に賀澄は苦悩したが、自身が信を置く鬼灯だ。彼が是とするならば其れも許そうと(叔父離れが寂しくて少しゴネた……、が)決めた。
婚姻はひっそりと行われた。章は自身の出自故、限られたときしか彼の傍らに居られないことを悔み傀儡を繰り、彼と共に過ごす事を決めた。
彼は傀儡人形相手にも紳士的に振る舞ってくれた。其れを喜ばずに居られようか。
章にとっての『風変わりな新婚生活』は動乱の神咒曙光の中でも、のんびりと、穏やかに続いているのだ――