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紫紺の残響から
登場人物一覧
名前:眞田
一人称:俺
二人称:~君、~さん
口調:だ、だよ、だよね?
特徴:廻の親友。大切な友達。
設定:
「あれ。眞田さん?」
「お帰り燈堂君。異世界の散歩はどうだった?」
小さなアパートの隅にある石碑の前に戻って来た僕は眞田さんに出迎えられた。
「異世界はなんか、凄かったです!」
「ぷふ。もっと語彙力上げて」
吹きだした眞田さんにちょっと照れくさくなって。
「ええと……黒い線とかがむにょむにょ動いてて……すごく大きな夜妖を倒して。散策してきました」
僕は身振り手振りで異世界の事を話す。
そうすると眞田さんは目を細めて僕の頭を撫でた。しばらく撫でた後、眞田さんの指先は頭から頬へ降りてくる。
「ちょっと顔色悪いね?」
「あ、えっと。思食みしたからかも」
「それにしては元気そうだ」
「はい。コントロール出来る様になったんで前よりは大分マシです」
思食みをしても歩いて帰れるぐらいには、負担が軽くなった。
少しだけフラつくけれど、これぐらいだったら問題無い。
他の人に迷惑を掛けるのは忍びないから。本当に楽になったのだ。
「送ってくよ。心配だし」
「でも……」
「それぐらいさせてよ。一緒に異世界探索したかったんだけど。ちょっと間に合わなかったんだよね」
頬をゆるゆると摘まむ眞田さんの指を掌で押さえれば、少し屈んで僕の顔を覗き込んでくる。
「えっと、じゃあお言葉に甘えて」
「ん。了解。甘やかしちゃう。この前のお祭りみたいに手繋ぐ?」
「えっ、いやいや。あれはゲームの中だったし、小さかったからで」
思い返せば、はしゃいで眞田さんを振り回した気がするから。
「中身は変わらないし。まあ、手繋ぐのは冗談としても、歩くの辛いとかなら言いなね」
「はい。ありがとうございます」
ゆっくりと歩幅を合わせて歩いてくれる眞田さんが優しくて。
頑張って家までの道を歩いたのだけど。
燈堂家の敷地が見えて来た所で、安心したからなのかぐるぐると世界が回り出した。
「ぅう、眞田さ、ごめ、なさ……ぃ」
転けないように塀に手を付いたけど、感覚は無くて。
「よしよし、辛いね? よいしょ」
眞田さんは軽々と僕を抱き上げる。
「わっ!?」
「掴まってて?」
びっくりして目眩は吹き飛んでしまったけれど、眞田さんはそのまま本邸まで運んでくれた。
本当に優しくて温かかった。