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三月なんかに狂っていない
登場人物一覧
名前:ウヅキ・マーチヘア
種族:幻想種
性別:女性
年齢:15歳
一人称:私
二人称:~さん
口調:です、ます、ですか?
特徴:『この広い世界であなたの幸せの理由に、なれやしない』『だって、あなたはここには居ない』
設定:
R.O.Oの有栖川 卯月は何も持ってやいなかった。現実の卯月とは真逆の、存在。ただ、『あなたの色』だけ纏って居た。
砂嵐で生を受けた幻想種のウヅキは両親を知らない。砂嵐に生きた砂漠の幻想種と傭兵の男の間に設けられた子供である事だけは知っていた。
ある日、両親が仕事があると母の故郷・翡翠にウヅキを預けた。そして帰らぬ人になった――
翡翠での日々は口にするのも憚られた。砂嵐に飛び出していった母を集落の人々は良くは思わなかったのだ。
母は、冒険家になりたかった。周囲の反対を押し切ってまでも冒険者になった。元より閉鎖的なこの国で『外の男との間に出来た子供』を愛してくれる人は誰も居ない。
それでも、命の危険を感じ取ってこの集落にウヅキを預けていったのならば。
母は、本当にウヅキを愛していたのだろう。同様に、その様な事態になった事を悔んでも居たはずだ。
翡翠での生活は酷いものだった。ウヅキは、家族も、貰えるはずの愛情も、何もかもを持っては居ない。
最低限の教育と家事手伝いだけが日々の営みとなって。恵まれた容姿は誰にも褒められやしなかった。美しいかんばせに乗るはずの笑顔も忘れて。
父に似た金の髪も、母に似た蒼い瞳も大嫌いだった。その瞳を見る度に祖母は口汚くウヅキを罵ったから。
アイドルなんてバカみたいな偶像、嫌いだった。幸せそうに笑ってる女の子。あんな風に私は笑えやしないのに。
童話なんて嫌いだった。何時だって王子様が迎えに来ては愛してくれる。あんな風に私は誰にも愛されやしないのに。
誰かに恋をしてみたかった。恋に憧れたまま。いつか、恋をしたならば私も幸せになれるんじゃないかと信じていたのに。
そんな未来、訪れなかった――集落を追い出されて途方に暮れた、唯の私。
だから、この世界なんて壊してやろうと思った。私より、幸せそうな事が許せない。
……そんな私を、迎えに来たのね。ねえ、