PandoraPartyProject

SS詳細

Lillistine・Winstein

登場人物一覧

エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
エルス・ティーネの関係者
→ イラスト

名前:リリスティーネ・ヴィンシュタイン(Lillistine・Winstein)
種族:ウォーカー(吸血鬼)
性別:女
年齢):Unknown(外見は10代半ば)
一人称:リリ
二人称:あなた、名前+様
口調:~です、~ですの、~ですのね?
特徴:傲慢、強欲、残酷、我儘、見た目だけなら可憐
設定:
 エルスと同じの出身。エルスの義妹にあたる。
 かつてリリスティーネの父はエルスを除く始祖種を皆殺しとして王位を簒奪。純血種の支持をバックボーンとして君臨した。だが純血種は貴種といえど真の王たる始祖種には能わない。故に王位の正当性を担保するためエルスを養子とした。こうしてLillistineとErstineの二人は義姉妹となったのだ。

 七の大罪を煮詰めたような性格をしており、使用人のみならず義姉エルスを玩具のように虐待していた。
 エルスはそれでも育ての義父を信じて耐え忍んでいた。しかし王位をリリスティーネに譲るという裏切りや、信じがたい悪事の判明によって激怒。全てを失った最強の始祖種吸血鬼――エルスは養父やリリスティーネをはじめ、吸血鬼の全てを滅ぼした。
 実の父が滅ぶにあたって、そして自身の死さえも、リリスティーネは笑いものにしたという。

 そんなリリスティーネは、いつかは知れぬが、エルス同様に無辜なる混沌へ召喚されていた。
 これは恐らくまだ誰も知らない話ではあるのだが――。
 リリスティーネは混沌肯定により純血種吸血鬼としての権能の殆どを失っていたはずだが、今や他者を何らかの特殊条件下で寵姫や配下とする能力を得ていると推測される。
 リリスティーネの恐るべき狂気はかつてのままのみならず、その配下を作り出す不可思議な能力まで考えれば、背後に魔種の気配さえも感じざるを得ない。あらゆるものを利用し、今も彼女はその勢力を徐々に拡大しているのである。
 きっと、この世の全てを奪い去るために。

 彼女は王を持たない砂の都ラサを奪うため、配下組織(エルナトやアレイスター、セーレン等)を利用して暗闘を繰り広げている。その魔の手は、徐々にエルスにも向かい始め――

 かつて纏っていた桃色のドレスを、鮮血の如き深紅へと変えたリリスティーネは、エルスにとって最大最悪の敵となるに違いないだろう。
 やがて来たる日は未だ遠く、しかし運命の糸は着実に紡がれ始めているのだ。

おまけSS『おまけSS『吸血』』

「リリさま、ご命令頂いた一件が、つつがなく完了致しました」
 剣の寵姫エルナトのかんばせが、銀月の光に照らされている。
 彼女の頬には、薄闇というヴェール越しにさえ、はっきりと薄紅が差していた。
 リリスティーネの忠実な下僕しもべたる彼女は、あるに胸を踊らせている。
 それは――

「いい子……さあ、近くへいらっしゃいな」
「はい、リリさま」
 主人の蠱惑的な声音に誘われ、エルナトはリリスティーネの前まで歩む。
 そっと跪いた健気な姿は、主人に忠実な犬にも、愛撫を待ち望む猫のようにも見えた。
 それもそのはず。エルナトは寵姫であり、愛玩動物ペットであるのだから。
「どうしてほしいの?」
 耳元で囁かれるリリスティーネの甘い声に、エルナトは肩を震わせた。
 リリスティーネは指先で、エルナトの頬から唇へと、くすぐるように撫でる。
「……リリさま、エルナトにどうか」
「卑しい子ですね。もう待ちきれないのでしょう?」
「……リリさま、どうかそのようなお言葉は」
「違うの?」
「……違いませんけれど」
「口答えするなら、もうやめましょう?」
「そんな、どうかお赦しください」
「リリに命令する気?」
「決して、そのような」
「ふふ、けれど。先程の働きに免じて、今回だけは赦してあげてよ」
「ありがとうございます」
 吐息交じりに呟き、エルナトは瞳を閉じた。
 胸の奥が疼き、かき乱されている。
「お望み通りに、ご褒美をあげます」
 主人リリさまを占有出来る、待ちわびた時間。
 恍惚に頬を緩ませたエルナトの首筋を、温かなものがくすぐり、鼓動が跳ねる。
「……」
 それから首へ、甘く鋭い痛みが駆け抜けた。

 ――永遠を望まれた時間は、けれど儚く。
 赤い糸を引いた唇が、艶やかな紅を帯びた口元が、リリさまの顔が、身体が離れる。
 息を殺して悦びに耐える甘い一時は、これでおしまい。
 焦燥に似た寂しさが、エルナトの胸の奥へ冷たく爪を立てていた。
 けれど首元に感じる熱い痛みだけが、主人リリさまとの繋がりを実感させてくれる。
 ただそれだけが、ひどく嬉しかった。
「リリさま。噛んでいただき、ありがとうございます」
 感謝を伝えたエルナトが踵を返す。
 後に残ったのは、微熱を帯びた溜息だけ。

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