PandoraPartyProject

SS詳細

彼の為の鎖

登場人物一覧

リュティス(p3x007926)
黒狼の従者

名前:リュティス・ドゥネーブ
種族:旅人(幻想種と偽っている)
性別:女性
年齢:16才
一人称:私
二人称:~さん
口調:です、ます、ですか?
設定:
 伝承王国のドゥネーブ男爵領で男爵夫妻に拾われた少女。本来の名は忘れ、リュティス・ドゥネーブの名を拝借している。
 8歳になった頃に拾われ、8年間、男爵夫妻に慈しまれて育ってきた。将来的には養子にと男爵夫妻には望まれたが、リュティスはその申し出を固辞した。
 何処の馬の骨かも知れない孤児を貴族になどと、言葉にしながら、その本音は男爵家のベネディクトに淡い恋心を抱いたからだ。
 長い間共に過した事で芽生えた恋心は、幼い勘違いかも知れなかった。それでも、初めての恋をリュティスは大切に大切に抱えてきた。
 その恋心は姉であるルナには筒抜けであり、彼に似合うレディになるべく淑女教育を受けていた。それが、彼の為になると知っていたからだ。
 現実世界のリュティスと比べれば表情は豊かであり、『普通の少女』として何不自由なく暮らしてきた。

 しかし――ある時、ルナが特異運命座標に討たれたときにリュティスは全てを思い出した。
 本来の名はリュティス・ベルンシュタイン。己は特異運命座標なのであると。己は魔種を討たねばならないと、知っていた。
 主人であり愛しき片恋の相手であるベネディクトが『特異運命座標を根絶やしにする』と――共に来て欲しいと手を差し伸べてきても、断ることは出来なかった。
 彼の目的は復讐である。己は手を下したわけではないが、狂気に堕ちたベネディクトは特異運命座標は全て敵であると認識しているのだ。
 何時か、自身が純種ではなく旅人である事が。力なき孤児ではなく特異運命座標で在る事が。彼にバレたならば――
 幻滅されるだろうか。直ぐに殺されるだろうか。それとも……。
 どの様な道が続いているかは分からない。どうなれども、彼の手を取った時点で続く道は地獄しかないと知っていた。

 其れでも良かった。「兄さん」と呼ぶことも出来ないまま、「ベネディクトさん」と呼び掛けた彼が自分には向けてくれる変わらぬ笑顔を見て居られるならば。
 リュティスと優しく呼んでくれるその声が、自分へ向けてくれる曇りのない愛情だと知っていられるなら。
 何時か、彼の手で殺されても――幸せだと、誇らしく笑っていられるはずだから。

PAGETOPPAGEBOTTOM