SS詳細
人為遂行
登場人物一覧
名前:笹木 花丸
種族:人間種
年齢:17歳
一人称:私(仕事モード)/花丸ちゃん
二人称:~さん
口調:です、ます、ですか(仕事モード)/だ、だよ、だよね?
特徴:賞金ハンター、【強気】
設定:
R.O.Oでの花丸は『旅人』ではなく、人間種の少女である。
正義の端、伝承に隣接した寒村で生まれ落ちた。弟と妹が一人ずつ、五人家族の長女として貧乏ながらも温かな生活を送ってきた。
両親は信心深き神の徒であったが、当の花丸は『そんなこと』はない。弟と妹も何れは神様を信じる事になるのだろうと成長を眺めて居る。
だが、彼女は現実世界ほどお人好しでも、心優しくもなかった。仕事は仕事であると割り切ることを覚えていたからだ。
それは彼女の妹が病に冒された事が切欠である。不治の病でありながら薬効で『死期を伸ばすことが出来る』というのに。寒村に住まう一家は貧乏であった。
日々、衰弱してゆく妹を見ているだけを『お人好しな少女』は是としなかった。治療費を稼ぐために、彼女は幼いながらも探偵の青年の元に身を寄せたのだ。
「妹を救うための力を下さい」と。どの様な困難でも乗り越えてきた。時には探偵として、時には交渉人として、時には傭兵として――
「確りとした対価を貰えるのならば、それは仕事というものでしょう? 最も……私はそれ程優しくはありませんけれど」
全てを『花丸ちゃんに、マルっとお任せっ!』と対価を貰える『受けられる仕事』ならば全てを担ってしまう彼女は、仕事に対してのスタンスは変わることはない。
何かの犠牲を払っても、それが仕事であるならば遂行してみせる。
たった一人の誰かを救うための『人による人の為の』行いなのだから。心優しい弟の手を汚させないために、彼女は全てを引受ける。
それでも、唯一行わぬのは『人の命を奪えという依頼』だけは引受けない。
その一線を越えたらもう二度とは戻れない。助けを求める者が居れば手を貸し、支えもする事を諦めてしまっても、自らが進んで誰かの未来を奪うものにはなりたくはなかった。
――もしも、本物の花丸が彼女を見たら真っ先に『再現性東京』の彼女を思い出すだろう。
まるで、彼女の様に厭世を語らうその姿は。『神様』を信じ切れなかった『自分』を隠すようだったから。
おまけSS『かみさま』
――ねえ、ひよのさんは神様っていると思う?
そんな事を、巫女である彼女に聞くのは間違っているのかも知れない。それでも、聞きたくなったのだ。
案の定、不思議そうな顔をした彼女は青い瞳をぱちぱちと瞬かせて首を傾いでいる。良く見ていれば、困った時に瞬きを繰り返すのは彼女の癖なのかもしれない。
「どういう、意味ですか?」
「いやあ、何となく。……花丸ちゃんも信じられるものがあるのかなあって」
ひよのは花丸のその言葉に可笑しそうに小さく笑った。
信じられるものがあるならば。神様に馬鹿野郎と叫ぶ自分とはお別れできるのかも知れない。
ジョークにはジョークを返すのが彼女のやり方だ。唇を尖らせた後、彼女は思い切り可笑しそうに笑った。
「もしも、死にたいほどに迷ってしまったら。私を信じて下さいよ。
私は、私ですから。神様なんかよりよっぽど近くて、よっぽど嘘吐きで、よっぽど分かりやすいんですから」