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彼にとっては『ホント』のはなし
登場人物一覧
名前:グレイシア・オルトバーン
種族:人間種
年齢:54歳
性別:男性
一人称:吾輩、私
二人称:呼び捨て
口調:である、であろう
特徴:【強気】 【硬派】 【神経質】 【悪気はない】
設定:
R.O.Oのグレイシアは伝承で喫茶店を営む普通の人間種である。勇者や魔王の宿命なんて関係ない、少し風変わりで心優しい喫茶店のマスターだ。
元は数学者として知られており、伝承の様々な教育機関では非常勤ながら数学教師として教壇に立つことも多い。
喫茶店『Shooting stars』はそれ故にか、学生や学者達の憩いの場となっている。
ある時に職を転々としながら一人娘を育てているという女がやって来た。決まって娘にはカフェオレを。自身は珈琲を一杯頼む彼女はルアナという一人娘を女手一つで育てているらしい。喫茶店の常連となった彼女は己の死期を予感し、娘を一人にしてしまうのが恐ろしいと泣いていたという。
『お人好し』なグレイシアは喫茶店で引き取り手を探そうと約束した。呆気なく死んでしまった彼女の代わりにルアナを引き取り喫茶店で里親を探す――筈が、犬のように懐いてくれる彼女が愛らしくなり自身の孫として育てる事とした。
元より独り身だ。身を焦がすような大恋愛は――あったかないかは彼の秘密だが、彼には護るべき家族は存在して居なかった。
ならば、丁度よい存在が出来ただけだと彼は簡単に割り切った。我が子というには年が離れすぎて居るためにあくまで『孫』としてではあるが……。
常連客達は「そうなると思って居た」「お人好しのグレイシア」と彼を揶揄うが騎士を目指すという彼女の独り立ちまではせめて、馴染みのある空間で育ててやりたいのだと強く宣言したそうだ。
看板娘として喫茶店を手伝ってくれるルアナの傍には、彼女を見守ってくれる常連客や近所の子供達が居る。始めの頃はおっかなびっくり関わってきた彼等も今は『メスゴリラ』と悪口を言ってルアナに追い返されるまでの仲だ。
そんな風に穏やかに、そして楽しく成長していく彼女を見守ることが彼にとっての幸福な過ごし方なのかも知れない。
彼には宿命なんてない、運命だって定まっていない。誰かに殺されるという未来がより良いのだと思うことなどない。
ただ可愛らしい少女が大人になっていくまでを見守ることの出来る、優しいだけの『おじいちゃん』でいられるのだから。