PandoraPartyProject

SS詳細

エイル・サカヅキによる被害報告

登場人物一覧

エイル・サカヅキ(p3x004400)
???のアバター

名前:エイル・サカヅキ
一人称:アタシ
二人称:適当なあだ名
口調:だるそう/だねー、だよー
特徴:優 し い ギ ャ ル 
設定:
 以下、R.O.Oプレイヤー用の内部掲示板より、発掘された日記を掲示する。これを読めば、おおむね、エイルと言う人物がどういった危険性を備えているか、分かるはずだ。

『エイル・サカヅキは優しいギャルである。新人プレイヤー、とりわけいわゆるオタク気質のあるプレイヤーは、決して彼女に近づいてはならない。
 エイルちゃんはね、優しいんだ。誰にでも、分け隔てなく、優しく接してくれる。僕が初めてR.O.Oにログインして、現実との感覚に戸惑っていた時、エイルちゃんはね、
「あれ、キミ、はじめて? なんかそう言う感じするわ」
 ってね、笑いながら話しかけてくれてね?
「アタシね、エイル。君の名前は? ――ふーん、じゃあ、Aっちって呼ぶね♪ Aっち、R.O.O初めてでしょ? 装備ある? これ、アタシのお古で良かったら使ってよ」
 そう言って、余っていた武器をくれてくれたりね。それから、一緒に仮に行ってレベリング手伝ってくれたりして。
「ねね、フレンドになろうよ。アタシ、Aっちの事気に入っちゃから」
 そういってね、気軽にね、握手なんかしてきてね!
 あーーーーもーーーーー。
 惚れるだろ!!!!!!
 それから、ログインするたびにエイルちゃんに会ってね、そのたびに、エイルちゃんも、
「Aっち、こんちわ。ねね、これからレベリング行くんだけど、一緒に行かない?」
 なんてね? 誘ってくれてね! こっちがどもってたりしても、楽しそうに笑ってね、
「Aっちの喋り方可愛いじゃん、ウケる」
 なんて言ってくれてね! あーーーーーーー! あーーーーーー!
 でもね、知ってるんだ。エイルちゃんにその気はないって。エイルちゃんはね、ただただ優しくて、フレンドリーなだけなんだ。僕以外にもその気になって、玉砕した佐藤や山田や田中やNPCを何人も知っている……ああ、くそ、でも、もしかしたらワンチャンあるかなってね! 思っちゃうのがね!
 こんな気持ち耐えられない! 僕はね! もう駄目だ! 明日告白する!!!!』

 むろん、彼が玉砕したことは言うまでもない。エイル・サカヅキは非常に優良なプレイヤーである。これは間違いない。
 ……だが、忘れてはいけない。彼女のその足元に、何人もの佐藤や山田や田中や洗井が眠っていることを……。

  • エイル・サカヅキによる被害報告完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別設定委託
  • 納品日2021年05月15日
  • ・エイル・サカヅキ(p3x004400
    ※ おまけSS『報告書を読んだ中の人』付き

おまけSS『報告書を読んだ中の人』

「ヴぁああああああああああ!」
 練達のデーターベースにアクセスした中の人は、『エイル・サカヅキによる被害報告』なるデータを読んだ。読んで、雄たけびを上げてデスクに頭を打ち付けた。
「な、な、なにこれ……なに、これ……」
 真っ赤になった頬に両手を当てながら、中の人は茫然と呟く。こんな。こんなことになっているなんて。確かに何か、何度か『本気の』告白してくる子がいるなぁ、とは思っていた。そう言う子は大体、一過性の熱に浮かされてるだけだと思って、中の人は優しく諭して、断っていた。
 断っていたのだ。だってそうだろう? アバターは、自分自身ではない。中の人の性格そのものを反映しているわけではないのだ。いわば、虚像を愛されているようなもので、その虚像と自分をイコールにすると言う気持は、中の人にはない。と言うか、酒飲みながら、べろんべろんに酔っぱらって作ったアバターなのだ。正直、演じてる時も酒でも飲んでないとやってられない。
 ゲーム内で完結する恋愛であれば。中の人は或いは、その手を取ってあげたかもしれない。でも、中の人が、エイルが受けた告白は、ガッチガチの、本気なのだ。と言うか、NPCからも告白されたことがある。これも何人もフッた。そりゃそうだろう。
「な、なんで、何でこんなことになってるのぉ……!?」
 中の人は、いやいやと頭を振った。探してみれば、出るわ出るわ、『優しいギャル』エイルによる被害報告! いろんな人が、エイルに惚れ、エイルに幻想を抱き、エイルにフラれ、佐藤や山田や田中や洗井になる。
「うう……うううう」
 中の人は唸った。それから、手近にあった缶ビールをがっ、と掴むと、プルタブを開けた。
 ぷし、と、炭酸が心地よい音を立てた。間髪入れず、それを飲み込む。
 ――飲まなきゃやってられないっ!!
 飲めばすべてを忘れらる。取り合えず、ひと時は。なにせ、これからまだまだ、エイル・サカヅキとして活動しなければならないのだ。それを思うと、気が重い。
 まぁ、いい。飲め。飲め。飲めばいい。まったく、飲まなきゃやってられない。飲んで、忘れて、優しいエイルちゃんになって……また後で考えよう。
 中の人は端末の電源を落とすと、もう一本、ちょっとアルコール量がストロングな缶酒を開けた。もう、これ飲んで全部忘れようと思った。

PAGETOPPAGEBOTTOM