PandoraPartyProject

SS詳細

クエストクリア後の豚の丸焼きはおいしい

登場人物一覧

イルミナ(p3x001475)
冒険者

 可能性を何個も何個も積み上げては崩し、その渦巻きの底から大好きなものだけを掬い取った。それ等を喜んで好いのか否かは人次第だが、おそらくは遊戯だと付け加える方法しか知れない。振動を感じた時には本物としか説きようがなく、解かれた脳味噌は全くが『人間的』だった。三原則から真っ向、歯向かうような貌には少々の悦が見えるが仕方のない現状だろう。干渉された何かしらのエネルギー体が反応し、緑色の生眼に光が這入り込む。嗚呼、これを歓迎しない者は存在しないだろう。嗚呼、たとえ畏れを抱いても数時間後には受け入れて在るのだろう。付属の心臓がドクンがはねればいとしく思え、この感触は素晴らしい暴力だ。初めまして※※※※、今日は何処で遊ぼうか。いらっしゃい※※※※、昨日と明日の予定は既に埋まっている。ウサギの穴に嵌まったアリスが何でもない日常、きゃっきゃとくるくるり狂っていくような心地だ。そうともロール・プレイング、サイコロを投げる神様の名前は忘れて終った方が良い。よう、アンタ! アタシとパーティ、組まないか――百発もの台詞を壁に中てた、リアルの衝撃がアバターにも奔っている――そんな莫迦な、死に易いとは言え、たったの一言で精神が病んでいくとでも……なーんて! どうッスか?、似合いますかね? 間の抜けた時がじんわりと流れ、舟をこぐようなリミッターだ。はは、面白い事を書く、※※※※はキャンセルに縋っているのだろう――力いっぱい男らしく、強気にペイントしてやれよ。今日の獲物は何だと記すのか、嗚々、特級の冒険者『Sランク』のクエストを受けてほしいのだ。バン、貼られていたド派手な大紙。ドラゴンを倒せドラゴンを倒せドラゴンを倒せ……本当にドラゴンだと記されていたのか?
 そのような化け物は未だ見当たらず、ただ茫々とした地を歩む他に無い。眼球が濁っていたとでも謂うのか『受付のあの人も※※※※の事を見ていなかった』気がする。NPCが生身じみていて気色悪かったのは『所為』ではないのだろう、中の人を隠すつもりは一粒も残っていない。潰れた葡萄を舐る行為は独特なもので、物騒な世界を生きていく為の比喩表現だ。如何様な事が起きても延びる方法を考えろ、命は全くが平等なのだから――緊張を殺し尽くすかの如く現れたのは複数のゴブリン、緑色の肌がヤケにナマナマしく、ぐるりと赤目が嘲りを晒した。握り締めたのは棍棒・ナイフその他盗品――さあ、戦闘開始だ冒険者ひとり。血塗れ地獄を広げて終え。飛び付いた一匹を両断し、取り囲んだ連中を薙ぎ払う。豪快に『ふるった』大盤は漿液ブチ撒けるのには十分だろう。宙、小鬼の四肢が舞踏している。よくある光景だ身体動かしていた方が遊戯らしくて宜しい――滅茶苦茶に汚れた衣が揺れ、ステータス・シートに反映されていた。上がりました、上がりました、上がりました、何が上昇したと告ぐのか教えてくれよマザー・グース。
 ※※※※刀剣振り回し、たくさんのゴブリンを滅多斬り。お父さんもお母さんもこんなに斬り殺されなかった。ぐるりと周囲を観察してみれば『何もない』筈がない。蜥蜴の尻尾を弄るように『この近く』勘が愉しみを囁いている。天下無敵の※※※※様はここで素晴らしい天啓を得たのだ、ふらりと頭を地面の上に、ほら【隠し通路】が啼いている。先程のゴブリンが作ったのだろうか、しかしヤケに広々としている――抉じ開けるように真っ暗い階段、厭な風が頬を啜る中『恐れ知らず』に進んでいく。最悪、死んだとしてもログアウト程度だ。リアル・チートが恋しくなる悪寒だがもう好奇心を抑え込めない。遂に到達した深淵、もしや伝説の――?
 ぶちり。何か大切なものが切断された気がしたが、そのような『現実』が存在していない。ぶちゅり。何か大事なものが拉げた気がしたが、そのような『事実』は証明されない。根っこに啜られた※※※※は宝箱を発見し、野蛮人の誇りを此処に示したのだ。ぎぃぃと暴かれた内側には経験値、するするとデータへ注がれたに違いない。外れる時は外れるだろうが今この時を歓喜して抱擁しよう。病的なまでの階段を戻りつつ、酒場での乾杯に脳を想わせていけ――残念ながらジュースだが。

 メンテナンスの下手糞なモブどもだった、命の洗濯だとアルコールその他を鯨馬している。その隅っこで※※※※、今日の冒険を語るのだろうか。カウンター彼方のNPCが笑いながらも首を傾げている、この人は如何して『何も頼んでいない』のに咀嚼をしているのだろうか。そんな些細な事は如何でも良い、この丸焼き豚を消費せねば成らない。もりもりと漲ってくるパワー、明後日も『積み上げねば』勿体ないだろう――介入完了。Rapid Origin Onlineへようこそ。今よりここはあなたの世界です――人形の中には人形、その中身も人形ならば最高だ。ケイオスの窖に双眸、ひどく埋まっている。

  • クエストクリア後の豚の丸焼きはおいしい完了
  • NM名にゃあら
  • 種別SS
  • 納品日2021年05月05日
  • ・イルミナ(p3x001475
    ※ おまけSS『NPC『――の宿の娘』』付き

おまけSS『NPC『――の宿の娘』』

 ええ。ええ。あの人、今日来てくださったあの人ですよね。
 大丈夫でしょうか――の皆さんのお話では、昨日も一昨日も独りごとが激しかったそうでして。
 嘘を吐いてがなり立てる悪質な『お客様』は多いですけど、あの人はちょっと、その域も超えていました。
 まるで『自分が本当に冒険に行っていたような』口ぶりでして。
 いえ、もしかしたら、私の知らないところで『冒険している』のかもしれません。
 最後の方なんてお酒も飲まれていないのに目を回して、壁に向かっていましたから。
 ――え? 介抱はしたのか、ですって?
 私自身の記憶も曖昧でしたが、たぶん治まってはいたのでしょう。
 別に『何事もなく』帰ってくださいましたから。
 ――それにしても未来科学部って何でしょうかね?
 本当、楽しそうにお話されてましたから。
 ちょっとだけ羨ましかったですよ。

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