『カプクル』

登場人物一覧

名前：カプクル
種族：肉腫
性別：女性？
年齢（或いは外見年齢）：不明
一人称：不明
二人称：不明
口調：不明
設定：
　ほう、なんですぞ？　ん、海向こうの話が聞きたいのですかな？
　宜しい！　ならばあちらにおける魑魅魍魎の類を語りましょうぞ！
　向こうでは魔物と呼ばれる者らが闊歩しております。この国では妖怪だのなんだのと呼ばれている存在と同じだと思えば宜しい。ん、なんですぞ？　私の姿も十分化け物……？　ンッふっふ！　実に的を得た意見、ぐうの音も出ませんな！

　――まぁともあれ向こうにも化け物はいる訳ですな。
　しかし……うむ。私がこのような姿をしております故、私基準ではあまり化け物と言える様な存在に会った事は…………
　いや。
　そうですな『奴』の話をしましょう。

　いや『奴』は恐ろしい。
　一言で言い表すならば……そう『母』の性質を併せ持っていた化け物と言いましょうか。
　その腹には常に膨れておりました。
　そして奴めはその腹を大事に大事に抱いて……他者には触らせぬ。
　なまじ触ろうとすれば腹の養分として皆殺しにし。
　なまじ触れなければどこぞへと出没して何もかもを呑み込む大喰らい。
　特に女を好んで喰らう。腹に子がいれば尚に好む。
　一時は確か腹に生命を抱かせた上で食しておりましたかなぁ。
　そう！　なんと奴めは人を飼う化け物でもあったのです！
　全ての存在を子の為に！
　全ての魂をその腹へと結びつけ他を蹂躙する正に『化け物』！
　――アレの腹にあるのは正しい生命でも何でもないというのに。

　『奴』は私の前に生まれた、私よりも歴史深い者。
　其は母にして、其は子を慈しみ、其は子の為に鬼となる者。
　幾度もの刃を跳ねのけ、ただ己が腹を守るために世に蔓延る大地の糞。

　ガイアキャンサー・セバストス・カプクル。

　奴に出会ったら逃げなされ。
　今どこで何をしているかは知りませぬし、滅んだやもしれませぬが……
　私も奴には近寄りたくないぐらいですからな――ンッふっふっふっふ！



　――豊穣の地にて『カラカサ』なる者が語った『化け物』の噂話