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甚雨のアナトラ
登場人物一覧
- 日高 天の関係者
→ イラスト
名前:アナトラ
種族:人間種
性別:女
年齢:14歳
一人称:わたし
二人称:ご主人様、~様、あなた
口調:です、ます、でしょう
特徴:元奴隷
設定:
少女の名はアナトラ。幻想で開催された奴隷市で販売されていた少女である。
彼女は多くは語らないが「多額の借金を背負った父の為を思って自ら人買いに取引を持ち掛け、奴隷となった」とだけ過去を教えてくれた。
嘗ては幻想では成金と呼ばれた商家の娘であったが、漕ぎ出した商売が波濤に飲まれるのも早かったという。
奴隷となった以上は本来の名も、ファミリーネームを捨て、奴隷商人がで名付けた
本来の名を名乗る事は気恥ずかしいのか、天に対しても「アナトラと呼んで下さいませ」と穏やかな口調で言ったと言う。
――本来の名は、アリエーテ・ヴァン・フンスリュック。母は幻想貴族ラブラドル家の末娘、父は成金商人のフンスリュック。
仮にも貴族であった母を持つ以上、素性が知られればラブラドル家にとってのゴシップに成り得ると少女は理解しているのだ。
そんな境遇故に、彼女は手酷い扱いを受けた訳ではない。元から跡目になるべく教育を受けてきた彼女は高級奴隷としての位置にあった。
流れるような銀の髪に、母と瓜二つの色違いの眸。整ったかんばせは貴族達にはウケたがアナトラが提示した条件が購入の手を渋らせた。
「わたしは奴隷ではありますが、殺しの術も色事も行うことが出来ません。ただの使用人として購入して下さる方を求めております」
その言葉に挙手をしたのは一人の老貴族ウィンゲートであった。ウィンゲートは『アナトラと楽しく生活をしてくれる者』を求めてローレットへと依頼を出した。
その依頼を受けたのが日高 天。「何かを護れるかも知れない」という想いが「アナトラを護ってやらねば」という心に変化するのは容易だった。
「天様をわたしは此れからご主人様とお呼び致します。どうぞ、宜しくお願い致します」
静かに頭を下げたアナトラは自身の知識を活かして天を支えることを決めた。彼が自身を守ってくれるのならば、自身の全てで支えよう、と。
使用人としての形ではあるが、保護対象となったアナトラと天はウィンゲートの支援で不自由なく暮らしている。
いつか、ウィンゲートが死去した際に二人の関係がどう変わるかは――まだ、分からない。