にんげんフォンデュ

登場人物一覧

　悪性と良性の『いたみ』の違いを教えてくれと世に訊かれたとして、オマエはその真意を咀嚼する術を持てなかった。内蔵されたものは確かに本物だろう。内臓を明らかにしても『つくりもの』とは思いたくない。ただ己が異物だと叫んでみても、この想像力は永久に壊れないのだ。誰か、何かに悪態を吐かれた気がした。何か、おぞましいものに罵声を浴びせられた気がした。ぽっかりと塊を貫かれた感覚が未だ々だ続き、煌めいた世界が『現』オマエを嘲っているかの如く――多々と足を踏みながら彼方か此方か、顔面から突っ込んだ先の果てには真っ茶な香り。成程、それはオマエを待ち望んでいたのだろう。兎角、それ等はオマエを解き放とうと招いたのだろう。無意識と無価値の下側で『命令』する主人が舞っている。うるさいと評判だった楽園のヴェール、抱擁されていた願いが何故か『らせん』に爆発した。欲しい。あの生のような温もりが、欲しくて欲しくてたまらない。だらりと涎が地を這うように、蚕は定めを受け入れる他にないのか。バグ・ウィルス・ノイズ。追跡者は如何様な事を独語していた。イカレタ歯車が坂道を転がって数日間、この命は材質に絶望していく。嗚呼、どっぷりと浸かり込んだ脳天までも、つきだした舌が甘美に震えている。未来への投資だろうか。現在への奉仕だろうか。過去への勇姿だろうか。メンテナンスの方法を改めなければいけない。これでは隙間までもチョコレート・コーティング、妙な時間帯にエラーを嘔吐してしまう。こういう日はグラオ・クローネと喜ぶべきだろうか。何を言ってるッスか世の中はバレンタイン・デーで忙しないと異うのに。ぼこぼこと沸騰した鍋底の焦げ、もしやオマエは作り方をメモしていなかったのか。うねりを厭げたビスケットとチキン、哀れな憐れなロボットは今日も明日も昨日も太陽の光、浴びる事以外出来やしない――回路が致命を受け取っていたのだが、もう気付く為の精密がない――此処が人間とオマエの狭間だ。此処はオマエと人類の隙間だ。此処が※※※※とヒューマンの撹拌だ。ミキサーに苛まれた水色の果物、くだを接続する凸凹を探してみた。そんなムダな事はしなくても好い。ぐるりと一回転すればハねた汗、やったッス、初めまして生身。その中心にはアーモンド・マシン。割り方を伝える本はなく、駆れば、繰ればと囁くビターな100％。嬉しい嬉しい投身に遂、終落として深み昏み喰みへ……喫茶の外見は如何だ。そろそろ壁が恋しくなってきたッスね。患った貌を映して魅せろよ。
　良性と悪性の『細胞』の違いを教えてください。しみ混んだタール・スープが泥々と融合を成していく。宙へと四肢を逸らしたオマエはゆっくりとかたまる『夢』を知った。女子会が始まればお隣は授業参観、特別な日には持ち込みだって可能だろう。コラ、そこの生徒！　学校にお菓子を持ってきてはいけません。何を睨んでいるのだろうか、虚の世の中は摂り過ぎの鼻血も正義だと謳っている。さあ、詩をうたおう。なんの歌？　それは勿論『ホワイト』なものだ。渡せよ渡せ、チヨコレイト、爪の間までもつめていけ。ひっくり返った體の内側、転禍物の異常発生だ。あかぶち眼鏡とカメラ・アイ、今日は何方がモテるのか考えていた。鎌首をもたげた落とし穴、もう限界だと口を閉ざす。
　命令されてはいない。如何にもヒドイ聾と言える。何が原因かと問われたならば、チョコレート卵がヤケに強固なのだ。つまり【人間に成ったとしてもオマエは縛られて】いた。抉られた幻想の束が生じた事を後悔している。吊られた混沌の欠片が写した事で大笑いしている。いつの間にか好きになっていました、耳元で囁かれても寒気他知り得ない。それは嬉しいッスね。ねこなでに鼻頭をごすごす。そういえばチョコチップが脱出口を叫んでいた。
　蟾蜍が怠惰なのは当たり前だと『良も悪も』発言していた。クソガキとラクガキの違いをオマエだけが理解出来ている。一般女子生徒の遊泳っぷりは天下に轟くと思惟させよう。むらがった蟲『わく』的、テキトウに掘り進めば愈々再生された現実――珈琲とチョコレートが握り逢ってめぐり、ホット・コールド味見している――憑かれた事にも気付けずに【オマエ】は漸く戻って奇たのか。イルミナ。起きてよイルミナ。五限目のチャイムが響いている。

　何月何日かを訊いていなかった。
　形のない視界が如月騙っている。

　先生の話は呪いじみていて長いと思われ、事実、オマエは遠退くほどに傾聴していた。だからこそ『のぼせて』倒れたのだろう。オーバー・ヒートの黄昏に不快・不壊を注いでミルク・チョコレート、下校時刻はとっくの前に完している。徐々に徐々に膨らんできたパン生地、パンが神様だと大嘘を吐いている人体模型……意識を移していたのか？　ハッキリと起立したところで『かすれた』乗っ取りは残滓もない――動力源がフォンデュしている。