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片翼を得んと願う老鬼
登場人物一覧
名前:
一人称:儂
二人称:~殿
口調:です、ございます、でしょうか?
特徴:年老いた鬼人種
設定:左右対象の角、白髪、獄相は鬼紋、獄色は貪欲(褐色)
中務省の役人、
かつて若い頃は人買いに攫われ売られたこともあって先代の主である
橘家が頼和に代替わりする頃にはすっかり頼和が人生の全てとなっていたが、天香・長胤が巫女姫と共に専横を振るう中、頼和は吸血蔦――蔦が肉腫となったもの――によって、殺害されてしまう。これは、鬼人種に擁護的であり中務省に属する頼和が長胤派の貴族の攻撃対象とされ、屋敷の壁に生えていた蔦を肉腫に感染させられたからであった。
誠人は老後の蓄えを全て擲ち、ローレットに主人の敵討ち、即ち吸血蔦の討伐を依頼する。その後、主人の遺体を荼毘に付す際に楊枝 茄子子が口にした『死んだものは片翼を得るだろう。もう片方の翼は、生前最も親しかった者に宿り、二人が再会することによって、天へと至れるのだ』との説法と、主人はきっと待っててくれるとの励ましを受けて、羽衣教会に入信。
後に高天御所で強大な呪詛が行われんとした際に鬼人種差別主義者である黒耀衆頭領によって肉腫に感染させられるなどの事件もあったが、今は茄子子の計らいで羽衣教会豊穣支部の下働きとなって口に糊している。
誠人は羽衣協会の信徒ではあるが、現世で翼を得ることは望んでいない。しかしさほど信仰に熱心ではない層ともまた違って、死後に片翼を宿して主人に再会することをこそ望んでいる。そのために今生を全うせんと、誠人は今日も羽衣教会の教義に従って生きるのだ。