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ポリカ・ポルカ。或いは、いずれ覚める幸せな夢…。
登場人物一覧
名前:ポリカ・ポルカ
種族:人間種
性別:女性
年齢:20代後半
一人称:私
二人称:貴方、貴女、私の子
口調:~よ、~ね、~だわ、など女性的な言葉使い
特徴:セミショートの茶髪。どこか虚ろな茶色の瞳。やせ細った身体の女性。背はさほど高くない。その口元には、絶えず幸せそうな笑みが浮かんでいる。
設定:
アドラスティアの元マザー。エクスマリアたちの活躍によりアドラスティアより救出される。
彼女は病気の娘を救うため“洗脳薬”の原材料となる花を育てていた。
彼女はそれが、洗脳薬の原材料になるものとは知らずに育てていたのだろう。
彼女が育てた花のせいで、多くの者が不幸になったことだろう。
知らなかったこととはいえ、それはきっと罪深い。
例え、花の香りの副作用として彼女が正気を失していたのだとしても、それはきっと変わらない。
彼女の娘は既にこの世にはいない。
彼女がそれを知ったのは、つい最近になってのことだ。
長い間、彼女は夢を見ていた。彼女は夢の中にいた。夢の世界は幸せだった。娘の病気はすっかり良くなり、きれいな花の咲く畑で、2人仲良くいつまでもいつまでも手を繋いで、笑いあって暮らすのだ。
なんて……それは泡沫の夢。
夢はいつか、必ず終わる。
ある日、花畑を襲って来た6人の白服たちと、1体の怪物。その襲撃からエクスマリアを庇った瞬間、彼女はふと正気に戻った。血を流し過ぎたことと、激しい痛みによって1時的に意識が覚醒したに過ぎないが、その日彼女は真実を知った。
そこにいたのは、ポリカを「母」と呼ぶ10人の孤児たち。夢も現も曖昧な状態で、ポリカが集め、面倒を見ていた孤児たちだ。
そして、ポリカを守るべく怪物に立ち向かう豊かな金の髪を持つ童女。ポリカが身を挺して庇った故、その童女には大した怪我もないようだ。
「良かった」と、彼女はその時、そう感じた。
エクスマリアはポリカの娘ではないけれど、幼い子どもが怪我をするのは見たくないのだ。
もしも娘が生きていたなら、エクスマリアはきっと娘の良い友達になるだろう。
だけど、娘はもういない……。
意識を失ったポリカ・ポルカは再び夢の中へと戻った。
花畑に長く住んだことによる後遺症は、今も彼女の意識を苛む。
病室で1人過ごす彼女は、ふと自分の手を眺めた。
繋いだ手の暖かさを覚えている。陽気な歌を覚えている。風に揺れる金の髪を覚えている。
「……今度はいつ、お見舞いに来てくれるのかしら」