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写本の捜し物
写本の捜し物
登場人物一覧
名前:オラボナ=ヒールド=テゴス
一人称:私
二人称:貴様
口調:筆舌に尽くし難い≒第四の壁
特徴:【混沌】 【絶壁】 【ないすばでぃ】 【絶壁】 【妖艶】
設定:
捜し物のひとつに、『同一奇譚』と呼ばれる書物がある。それは羊や牛や人やもしくは実在が明確にされていない幾つかの動物の皮を縫い合わせて出来ており、通常あれば禁書として何重にも封をされて然るべきものだ。
オラボナとて、中を開き、文章に目を滑らせるだけで精神に異常を来たらせる書物は幾つか知っているが、視界に入っただけで惑わせる著物はこれきりだろう。
同一奇譚を視界に入れた者は、自己と同一奇譚を同じものであると認識する。装丁は皮膚、頁は肉、綴られた文字は臓腑である。これを誰にも奪われまいと暴力性を取得し、同一奇譚に触れるもの、近づくものを自分に害為す存在だと思いこむようになる。
実際に、同一奇譚に損害があれば、痛みを感じるのだ。そして修復すべきだとして、自身を差し出すようになる。
装丁が傷つけば皮膚を、頁が破れれば肉を、文字が滲めば臓腑を本に与えようとするのだ。
さて、その危険極まりない書物であるが、オラボナの知る限り、出身世界では失われて久しい。今も管理者共が血眼になって探しているが、何処にあるのか、誰が盗んだのか、皆目検討もついていないというのが実情である。
封を解けば惨事を免れまいに、ついぞ見つけられないまま混沌に呼ばれてしまったのだ。
まさか、世界を違えては居なかろうが。