吉兆のワタリガラス

登場人物一覧

名前：コモン・レイヴン
一人称：私、俺
二人称：貴殿、キミ
口調：公私を使い別けた口調
特徴：【情が深い】【律儀】【お人よし】【平和主義者】【迂闊】
設定：
　諸国悠々する旅の傭兵。国の治安組織が手の回らない問題を解決して回って日銭を稼いでいる。
　非常に情が厚い人物で、親身になって依頼をやり通すその姿勢は市民からの人気は高く、『吉兆のワタリガラス』などとあだ名が付けられている。

　彼の消息が途絶えたのは、鉄帝国の奥地にて遭難者の救出へ出発に赴いてからだ。
　草木もまばらにしか生えない凍土の地帯（ツンドラ）。遭難者は不幸にも既に息絶えており、レイヴン自身も二次遭難に陥るが、その場面を氷のグリムアザースに助けられる。
　ひとまず寒さを凌げる洞穴へ身を移され、「外の世界の話」をグリムアザースに求められたレイヴンは救助のお礼として快く語った。
「ここ近くの鉄帝は幻想と豊かな土地を巡っての小競り合いを繰り広げている」
「もっと遠くにある練達では、電気を使った機械なる便利なものがたくさんある」
「ラサには砂漠があって、こことは違って地面は砂ばかりで……」
　氷のグリムアザースは、初めて人と出会い、初めて他人と談笑を交わした。吹雪が止むまで、彼の世話をするようにして過ごした。

　もっと一緒に居たい。

　吹雪が一時的に止んで帰るべき時間になってから、氷のグリムアザースの内に初めてそういった感情が芽生えた。死の概念を理解していなかった彼女は「帰らないと凍え死んでしまう！」というレイヴンの懇願さえよく分からず、寒さで弱り切ったレイヴンの体を容易く引き止めた。

　そして『吉兆のワタリガラス』の消息は途絶えた。
　最後に依頼した住民曰く、「彼の遺体は凍土の中にあるのだろう」と噂されている。吹雪の中であれば損壊が少ない遺体のままのはずだ。
　現在は彼を慕っていた者達を募り、親族や婚姻相手を見つけたのち遺体を返却すべく凍土地帯を捜索する計画が立てられつつある。