SS詳細
『今はまだ過去の中』スヴィ
登場人物一覧
名前:スヴィ
一人称:あたし
二人称:~さん、~くん
口調:です、ですね、ですか?
特徴:読書好きの茶色い毛の女の子。10歳。誕生日は4月20日。
設定:
<Raven Battlecry>事件にて、大鴉盗賊団に雇われた『子供たちの傭兵部隊』のうち、生き残りの一人。イレギュラーズ達の説得により投降したが、その後、投降に応じなかった仲間達と、イレギュラーズ達の戦いを目にすることとなってしまう。
投降後はラサの施設によって保護され、その後の沙汰を待つ身であったが、朔・ニーティアの保護観察下に入った。朔が彼女を選んだわけではなく、他の子供たちの心情を慮り、施設側がランダムで誰を引き取るかを決定した。
朔に対して思う事は――少なくとも、恩人だとは思っている。助けようとしてくれたこと、その想いは本当であると思うし、信じている。
だが――少しだけ、思ってしまうのだ。「どうしてマリッカやリーッタも助けてあげられなかったの」と。
スヴィはマリッカ(イレギュラーズ達が到着する前に、トラップにかかって死んだ少女だ)や、リーッタと仲が良かった。マリッカの好きな本を、一緒に読んで、その未知なる冒険に思いをはせた。スヴィは魔術兵でもあったから、本が好きだった。マリッカやリーッタと一緒にいろんな本を読んで、いつか一緒に旅に出ようと語らった仲だった。
だが、マリッカもリーッタも死んだ。マリッカはトラップにかかって、リーッタは守りたい家族のために、朔達と戦い、命を落とした。
イレギュラーズ達がもう少し早く来てくれたら、もっと上手くやってくれたら……そう思ってしまうのは、今のスヴィが幸せな場所にいるからだろう。人は欲張りなものだ。一つ幸せを手に入れたら、もっと、もっとできたのでは、と思わずにはいられない。
朔は、スヴィがそう思っているのを知っているから――あるいは罪悪感の為か、上手くスヴィに接することができずにいる。スヴィは、朔に申し訳が無いと思っていて、上手く接することができずにいる。お互いが、お互いを傷つけてしまうかもしれないと思って、触れあえない。ヤマアラシのジレンマが、二人を少しだけ、傷つける。不器用な新しい家族の姿が、此処に在った。
――いつの日か、二人が、心から触れ合えることができたら。
スヴィは朔と、海洋の船に乗りたいと思っている。友達がかなえられなかった夢を、一緒にかなえて欲しいのだ。