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ヘーレの砂鱗

【領地】へーレ地区

登場人物一覧

エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
エルス・ティーネの関係者
→ イラスト

名前:エルス・ティーネ
種族:旅人
設定:
 ――これは、エルス・ティーネの治めるラサの領地『ヘーレ地区』に伝わる御伽噺である。

 壁画は語る。
 砂鱗を持つ竜は月夜になれば人を象り姿を現すのだと。
 彼等は酷く臆病な性質をしている。そも、竜というのは人々を蹂躙する力を持っているからだ。
 砂鱗の竜は人を害することを厭う。砂鱗の竜は脈々と紡がれる命を慈しむ。
 砂鱗の竜はその力が弱き物を傷付けぬようにと姿を隠して居るのだという。
 彼は一度人を傷付け、それを悔やみ、憂いて砂の海へと姿を隠した。
 もう二度とは人を傷付けぬようにと誓い深い深い眠りに着いていた。

 その眠りが覚まされたのは乙女の歌声であった。
 その歌声に誘われて砂鱗を持つ竜は人の子の姿と為って目を覚ましてやってくる。
 鮮やかな月夜になれば人の姿を象って人の子とワルツを踊る。
 そうして、嘗ての罪を濯ぐように。人々を愛し、か弱き物を慈しむ。

 彼は人の子の歌声を好んでいる。自身には発せぬ美しくもか弱い響き。
 その穏やかな歌声に魅せられるように竜は人の子を真似てみせるのだ。
 彼は大いなる翼を持った竜である。故に、人の子の常識も、人の子のマナーも分からない。
 だが、決して其れを馬鹿してはいけない。人にも竜にも個性や『苦手』が存在するのだ。
 優しく教え、そして次の夜にも出会えることを願うべし。

 故に、隣人を愛せよ。それは砂鱗の竜かも知れぬ。
 故に、隣人を害する事なかれ。それは砂鱗の竜かもしれぬ。


 ――地下へと繋がる洞穴の、その壁面に描かれているのは砂鱗の竜の寓話であると伝えられる。
 彼の名はソルゲー。ソルゲー・ビヤーバーン。砂中で深き眠りに着いていると伝えられる竜である。
 ……真偽は不明であるが、其れ等を護り尊び、幼子達に御伽噺は伝えられてゆく。
 出会いを大切にし、決して人を傷付けぬようにと、そう教訓めいた言葉と共に。
 尚、ソルゲーの存在そのものを信じるも信じないもそれは人それぞれなのである。

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