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春風

登場人物一覧

冬葵 D 悠凪(p3p000885)
氷晶の盾
冬葵 D 悠凪の関係者
→ イラスト

名前:サフィア・ウィズブラント(但し旧姓による)
種族:カオスシード
性別:女
年齢(或いは外見年齢):28(但し享年)
一人称:私
二人称:あなた、~君、~さん
口調:です、ます、でしょう?
特徴:美形、美声、長髪、母性的、優しい
設定:
 幻想の中流家庭に生まれ育つ。
 幼い頃から歌唱技術に優れ、その天賦の才をもって歌姫の名を欲しいままにする。
 十代半ばから後半にもなれば(生臭い下心も含め)好事家の貴族達がその名を聞きつけ、こぞって彼女を召し抱えようとするもこれを拒否する。幻想の貴族達はこれに腹を立てる事も多かったが、彼女の人となりに触れた後は大抵文句をつけながらもそれを許し、逆に彼女の良きパトロンとなったという。

『春風のよう』なその歌声と共に彼女は充実した日々を送っていたが、取り分け華やかなる生が輝かしかったのはやはり『運命の人』に出会った頃の事だろう。夜道で酔客から美人を救う――物語の中ならば、何処にでも有り触れたごくごく些細な出来事を切っ掛けにサフィアは一生で一度の恋をする事になる。
 朴訥ながら誠実であり、同時に気高く優しい騎士は彼女にとって安らげる存在であり、春風よりも柔らかく、慈愛に満ち、同時に『強さ』さえ感じられるサフィアは彼にとっても確かな拠り所となっていく。

 彼女の多数の『ファン』は口々に文句を言いながら晴れの日を迎えた最高に幸福なサフィアを祝福した。
 彼女に入れ込んでいた大貴族の一人は宝石で出来たブーケを彼女に贈ろうとした。また別の一人は騎士を上へ引き立ててやると申し出たが、サフィアは一人一人に丁寧にお礼を言ってそれら全てを断った。
 実を言えば彼女は華やかな舞台が得意では無く、小さな書店を営む事を夢見ていたからだ。
 夫と共に幻想の中央から離れ、王都の外で恵まれない誰かの為に尽くそうと決めていたからであった。

 サフィアはその後、穏やかな生活の中で子宝を授かる。
 悠凪と名付けられた彼女は母に似たとても可愛い女の子だった。

 彼女が夫の留守中、中央の圧政に耐えかねた『暴徒』の手にかかって落命したのはその数年後の話である。
 幼い悠凪を必死に隠し、彼等に相対した彼女の最期の姿は悠凪の網膜に焼き付いている。

「――あなたは恨むなら恨めと言う。でも私は恨みません。憎みません。
 貴方達が天を嫌っても、世界を恨んでも。
 凍り付いた世界が雪解けを待つように、私はこの瞬間を諦めない――!」

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