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覚めぬユメの少女
登場人物一覧
名前:ユメの少女
一人称:わたし
二人称:あなた、『リゲル』、りげる
口調:~ね。~~だわ。~なの?
特徴:金髪碧眼の美少女、その瞳が移すものは幸せなユメ。
設定:
「ああ、ああ、なんて幸せなユメ。
ねえ、このユメはいつ覚めるのかしら? できれば、ずっとユメのなかにいたいな。
ねえ、私だけの一等星。『リゲル』。
この切なくて、優しい、このユメが覚めることがなければいいのに」
バテンカイトス領の領主の一人娘。元の名前はルミナリア・フォン・バテンカイトス。
なんの不自由もなく愛されてきた、素直で美しい少女。
とある事件で盗賊団にさらわれるが、天義の騎士である『白銀』リゲル・アークライトと『紅蓮』レグルス・ド・ヴィルパンに救われる。(その際リゲルに初恋するが、同時に気持ちを伝えることもなく失恋する)
姫の救出を果たした二人の騎士を讃えた祝宴の翌日。
突如としてバテンカイトス領は滅びを迎えた。みな、ひとり残らず領主はじめ領民全てが心臓の鼓動を止めた。
ただ一人、ルミナリアと呼ばれていた姫君を除いて。
少女は魔種レグルスの甘い呼び声に答えユメに墜ち、バテンカイトス領の全ての命の灯火を自らのユメに閉じ込めてしまったのである。
現在、少女は幸せなユメの中にだけ存在を許されている。魔種「ユメの少女」として。
少女にとってレグルスは『リゲル』である。
否、少女がその淀んだ瞳に映す若い男性全てが『リゲル』である。
(そのなかでもレグルスだけは誰よりも強く輝く一等星『リゲル・アークライト』なのだ。しかしレグルスにとってユメの少女は見目のいい遊戯の駒でしかない)
ただ一人本物のリゲル・アークライトだけは「りげる」と認識している。それは彼女の優しいユメを壊す存在であると、気づいているから。
わたしのことを愛してくれないリゲル・アークライトなんかいらない。
わたしが欲しいものはわたしを愛してくれる『リゲル』だけなのだから。
だけど、だけど……。
「――りげるは今わたしを捜しもとめてくれている。とてもうれしいこと。――でもりげるがユメに干渉してしまえば、ユメは覚めてしまうのだろう。それはいやだな。それでも、りげるを愛しているの。すきよ。だいすき。あいたい。あって言葉を交わして――
――――はやくりげるを殺したいなあ。」
今や魔種「ユメの少女」をルミナリアと呼ぶ者はもう存在しない。