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琥珀の涙
登場人物一覧
名前:鹿ノ子
一人称:僕
二人称:~さん
口調:~ッス、~ッスか?、~ッス!
特徴:複雑な乙女心を抱える少女。遮那にとっては気になる女の子。
設定:
鹿ノ子、許してくれ。今だけは其方の前で泣くことを。
私が其方の前で泣くことが出来たのは、其方が正直な気持ちをぶつけて来てくれたからだ。
其方は己の醜さを曝け出すのは恥ずかしいと思うかもしれない。
だがな、男児(おのこ)たるもの、人前で泣くことが出来ない身にとって、其方の声は救いだった。
己が課した決意を投げうっても構わないと思ったのだ。
でなければ、其方は涙を流せぬ。私も涙を流せなかっただろう。
蟠って燻って、何処かで爆発していたかもしれぬ。
其方は己の代わりにと言ったが。あれは、私の為だったのだろう?
有難う。鹿ノ子。
のう、もし、其方が涙を流したいと思う時があればな。
その……傍に寄り添って、代わりに泣く事が出来る、からな。
だからな。そんな風に辛そうな顔をする前に、来ていいのだぞ。
其方の為なら、いくらでも時間を空けるから、な?
何だ。そんなにまじまじと見るな。恥ずかしいではないか。
いやだって。其方は神使でこの国を救ってくれた英雄で、私は天香の当主かもしれぬがな。
されど、この場に居るのは鹿ノ子という一人の女の子と、只の男児(しゃな)だ。
だからその、物凄く、恥ずかしい。
私は好ましく思っておらぬ者に、傍に寄り添い代わりに泣くとは言わぬぞ。
なあ、鹿ノ子。このまましばし手を握っていても良いか。
其方の声が聞いていたい。
ん? 私は何の話でもでもいいのだが。
そうだな。一番最初にあった時みたいに、神使の国の話をしてくれ。
其方が神使の事を教えてくれて、私が豊穣の地について語っただろう。
それと、其方の事も。
私は鹿ノ子の事が、もっと知りたいのだ。