SS詳細
都会を知りすぎた少女
登場人物一覧
外見基本:髪、耳、尻尾が燃え上がったブルーブラッドの少女
一人称:自分の名前
二人称:呼び捨て
口調:~ですよ、~なのですよ、~ですか?
特徴:純粋無垢な少女を演じて他者を悪徳に駆り立てる、虚栄を好み美徳を嫌う
設定:
人は都会というものの豊かさ、眩しさ、美しさばかりに焦がれるが、現実の都市は打ち棄てられた、貧しく汚い一面とも表裏一体であろう。
かつては都会の光に憧れた少女は反転し、今、その闇までを深く知る一人となった。否、その闇こそ都会の最も崇高な本質だと信じ、自ら都市の暗部を拡大するための伝道師となっている。
例えば、都会の少女とは悪意ある大人たちによる誘惑に負け、薬物や性や暴力に溺れるものである。故に彼女は容易く唆される。最初は出来心で彼女を悪の道に誘った者たちが、いつしか彼女を支配する快感に抗えず、心から悪に染まってしまうように。
例えば、都会の大人たちの悪意に雁字搦めになった少女は、弱者を虐げて鬱憤を晴らすものである。故に彼女は他者を炎で包む。悪意を向けられた者が同じ悪意を自分より少しだけ弱い者たちに向けるという連鎖が、最も弱い者たちに届くまで広がってゆくように。
直線的な模様ばかりで構成された彼女の服装は、無機的な都市の建物や路地を象徴するものだと言える。さらに付け加えればその夜色は、都市にわだかまる闇を表している。だとすれば彼女の姿は……一見すると都市の闇という首輪を嵌められて、自由を奪われてしまった犠牲者に見えるかもしれない。
が、その姿をよく見れば、別の解釈も可能となるだろう。無機的な都市の上では、彼女の炎の髪と耳――もちろん彼女が無垢な少女を装っている時には反転前とさほど変わらぬ姿をしているが――が激しく踊っている。それは彼女こそが、首輪を思わせる緊箍児にて都市の全てを締め上げて、その上に君臨する存在だということを示すものだ。
彼女にとっての都会とは、外面ばかりは輝かしい虚栄の他は、無数に横たわる背徳と怨嗟、嫉妬と悲劇から成るべき存在である。ゆえに彼女はそこに偽りならざる美点や真実の希望があれば、それらを残らず焼き尽くしてしまうことだろう。