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果てへの階
登場人物一覧
名前:シルヴェストル=ロラン
一人称:僕
二人称:呼捨て、キミ
口調:だ、だよ、かな、かい?
特徴:少し尖った耳。無造作に伸びた鳶色の髪に碧眼(吸血鬼状態では銀髪に赤髪)の美丈夫。
設定:
普段は勤勉で友好的は青年である。しかしそれはあくまでも「生前」の姿の模倣。
彼はすでに「人ではない」
かつて、この世の果てを見届けたいと望んだ青年は人という軛を捨てた。
得たものは――。
結論から言おう。
最高だ。
青年は一つの国の成り立ちから黄昏までを何度も観察してきた。文明が起こり、そして終焉する。そのたびに繰り返されるドラマは何度みても飽きない。
同じことを繰り返しているようで細部のディティールが違う。
それはとある小国の終焉の少し手前。
あと少しの切っ掛けがあればこの国は近隣諸国の兵に攻め入られ蹂躙されることになるだろう。
小国――サドネアは疲弊していた。
ふと、ヴァンパイアロードである青年は思う。この疲弊した小国が勝ちを得たらおもしろいのではないかと。
それはただの思いつきだった。
青年はサドネアに降り立つ。
皮肉にも、最初に降り立った場所は廃れた教会。ボロボロになった十字架にはすでに信仰はない。故に怖くもない。
さあてどうするかと考えていると――。
「アナタはカミサマですか?」
背後から声がかけられ振り返れば豪奢な金髪の少女――サドネアの王女がいた。
そういえば彼女はこの国のすべての教会に国を助けてと祈りを捧げていたと思い出す。こんな寂れた教会にまで祈りにくるとはよほど追い詰められているのだろう。
それほどまでに祈ろうと助かるはずもない。神などいないのだから。
「そうかもね」
ふと青年は思いつく。少女を眷属にして、この国を勝たせるのも一興だと。
「力をあげよう」
それはカミサマが告げる悪魔の誘い。それが少しの切っ掛け。
さて結論だ。
戦争に負けた。
王女を旗印にサドネアは戦いに勝利した。しかしその悪魔的な力は必要以上に近隣諸国を怯えさせた。常に戦争状態であった諸国はこれを期に連合国となり、巨悪であるサドネアを討つという一つの目標を掲げることになった。
そこに宗教大国も加わることにより戦乱は激化。戦況はあっさりと反転することになった。
結果サドネアは敗退。
邪悪なる金色の王女は火炙り、元凶である「邪神」の自分は聖騎士軍に追い詰められる羽目にいたったのである。