PandoraPartyProject

SS詳細

計画的実行

登場人物一覧

月待 真那(p3p008312)
はらぺこフレンズ
真道 陽往(p3p008778)
双銃の狼

●前回のあらすじ

 計画的犯行を読んでね!

 特異運命座標イレギュラーズである真那と陽往は、陽往の故郷で開催されるという七彩の祝祭セブンス・ハーベストに向かうことに決めた。
 馴染みの店の『喜々一発』の店主を誘い、飲食店部門で向かうことになった三人の挑戦は続く。
 具体的に言うといまは材料集めの段階!

●そうして完成したものは

「怪我をしたら帰って来いと言ったじゃろう!! 特に真那!!!」
「は、はいぃぃっ」
「お主は女の子なんじゃ」
「うん」
「もっと肌に傷がつくこととか後に残ることとかを躊躇わんか!!!!」
「ご、ごめんなさーい?!!」
「ハル」
「ウッス」
「女の子を護れん男はモテんぞ」
「ウッス……」
 日も暮れ、魔物の羽まみれで帰ってきた二人が元気よく『ただいま!』と声を上げた矢先、飛んできたのはおかえりなどという優しい言葉ではなく、お叱りの言葉ばかりだった。
 そうして叱られ正座を続けること早一時間。げそぉっとした二人に渡されたのは試作品一号。
「はぁ……明日は気を付けるんじゃぞ」
「「いただきまーーーす!!!!」」
「まず手を洗わんか!!」
 何度目かの怒号。これじゃあ店主の髪もなくなる日が近いかもしれない。長い髭を搔き薄くなった髪を毟るものの、それも嫌ではなくなってきている自分に苦笑しながら、店主は二人用に飲み物を用意するのだった。

「で、ひとまずスパイシーな肉料理にしてたんじゃが。十点満点だとどれくらいかのう」
「私は様子見で七! でも普通においしいからメニューに入れてほしい!」
「うーん、六かな。食べ歩きには向いてるけど、ひとつひとつが小さいから、わけたりとかが難しいんじゃねえかな」
「なるほど、ハルは良い目をしておるのう。味の方はよさそうじゃな、真那もありがとう」
 ふぅむ、テーブルを眺める。その先には試作品一号と名付けられた焼き鳥が何本か。
「まぁこれは試作品じゃからのう。とりあえずこれは没じゃな」
「え?! もったいない、私が全部食べる!」
「それは構わんがのう! 折角いくならおいしいもんを食べてもらいたいのじゃ」
「なるほどな」
 むしゃむしゃと食べる真那、じっくり味わう陽往。それを眺めて考える店主。三人の構想はまだまだ終わりそうになかった。

●挑戦は続く
「うーん、おっちゃんのために私達は何ができるやろう?」
「そりゃ、こうやって材料を集めて、食って……くらいしかなくないか?」
「もっと!!!」
「もっと?」
 バァンと真那が打ち抜いた魔物は、反抗する余裕もなく息絶えてしまった。陽往がその魔物を担ぎ、首を傾ける。
「例えばどんなことがしたいんだよ。もっと具体的にさ」
 最近の彼は少し冷静である。きっとそれが祭りを成功させるためのものであると、真那は言われずとも感じ取っていた。焦りや後悔の混じらぬようにと、心の中ではどや顔をしながら、真那は敵を打ち抜く。
「おっちゃんのお手伝いはそうやけどさ。実際に厨房にいけたら負担とか減るんちゃうかなって」
 陽往は瞬き二つ。『へぇ』と続けたその内心は『その手があったか』。ちらちらと感じる視線に真那は思わず吹き出して、その続きを語るのだ。
「私も料理はあんまりやし、ハルもそうやと思うんやけど」
「ちげーし」
「ほんまに?」
「ほんま、だ」
「ほんまのほんまやな?」
「……」
「ほんまなんやんな?」
「嘘です」
「うわーーー嘘吐きはあかんねんで!!! じゃなくって!
 んっとなぁ。料理手伝えたら、厨房の回転率もあがるし、おっちゃんの負担も減るやろ?」
「おう」
「んで、私らも料理できるようになるやん」
「うん」
「さらにやで、お手伝いできるってことはレシピももしかしたらしれるかもしれへんってことや。つまり!」
「つまり?」
「ハル、察し悪ない? つまりは、家でもどこでもおっちゃんの味が再現できるってことや!」
「お、おお……!!」
 二人の獣耳が揺れる、揺れる。興奮しているのだ。
 しかしそれがめちゃくちゃよろしくないことはきっとずっと気付かないのだろう。
「おっちゃんの力にもなれて、」
「俺達の料理力はアップし、」
「かつレシピもしれる!」
「真那って天才だな?!!! じいちゃんに提案しようぜ!!」
「やな!!」
 今日の獲物を担いで、二人は頷いて。夕暮れの森を駆け抜けて、喜々一発へと戻るのだった。

●VS 店主
「包丁を握ったことは」
「銃ならいっぱいあるで!」
「おままごとのでいいんだよな? あるぜ!」
「料理の経験は」
「泥団子やろ。なー」
「なー!」
「どっちがレタスかキャベツか、あとはくさいかはわかるかのう」
「この長いのってあれちゃうん、レタス」
「ならあとがはくさいとキャベツだな」

「却下で」
「どうしてだよ?!」
「私ら結構名案やったんちゃう?!!!」
「あのなぁ……どこにそんな結構成長した見た目してキャベツとはくさいとレタスの区別がつかんものがおるのじゃ」
「ハル……」
「いや真那だろ、どんまい」
「足を引っ張りあうでないわ!!!」
 はぁ、と肩を落とす店主。けれどもまぁ仕方ないと頷き、それならばと店奥へと駆けていく。
「にしても俺達、相当ダメダメみたいだぜ」
「やなぁ……」
 と落ち込んだ二人の背中に投げつけられたのは、
「ほれ」
「「?!!!!!」」
 喜々一発のエプロンと、制服だった。
「え、じいちゃん、俺達」
「これから鍛えておけばいいのじゃ。わしの手伝いにもなるし、お前たちはただ飯どころかまかないもつく。ラッキーじゃろう?」
「お、おっちゃ~~~~ん!!!」
 飛びついた真那と陽往。ふたりの勢いには負けて、店主は尻をついた。
「痛いわい!!!」
「ご、ごめん、嬉しくてつい」
「ごめんなぁおっちゃん……」
「ふふ、冗談じゃよ。けれど、二人とも。
 料理は簡単ではないし、怪我もするし、今回は期限付きじゃ。成功しなければわし一人でやることになるし、二人にはまだ狩りもしてもらわねばならん。
 それでも、わしの手伝いをするか?」
「おう!!!」
「もちろん!」
 即決する二人に店主は思わず苦笑して。
「……まったく、単純なんだか馬鹿なんだかわからんのう」
「酷いぜじいちゃん?!」
「冗談じゃ。まぁ、そうとなれば祭りまでは料理メインで手伝ってもらおうかのう……」
「やったー! じゃあハル、まずはこれな! これははくさい」
「キャベツじゃね?」
「……レタスじゃ」
 思わず頭を抱えた店主。刻一刻と迫る祭りは波乱の予感。
 それでも悪くはないと、笑みを浮かべる三人だった。

 つづく。

  • 計画的実行完了
  • NM名
  • 種別SS
  • 納品日2020年10月21日
  • ・月待 真那(p3p008312
    ・真道 陽往(p3p008778

PAGETOPPAGEBOTTOM