SS詳細
それは一抹の夢なれば
登場人物一覧
名前:一条 夢心地
一人称:麿
二人称:そなた
口調:~じゃ、~なのじゃ、~なのかえ?
特徴:おとのさま!、にやけ顔、和式正装、特殊な髪型、舌が長い、好色、悪気はない、浮世離れ、放浪癖、ギャグキャラ
設定:
殿様。
奔放自在にして行雲流水。
皆が振り向くド派手な橙の羽織、どこかで見た事のある白塗りの化粧、一寸体を動かせば珍妙な所作。
一条夢心地は誰が見ても立派なお殿様である、それを疑う者はまずいない。
その落ち着きのない行動に油断する事無かれ。彼が一度刀を抜けばその洗練された剣技は彼が凄腕の剣士であり、見掛け倒しの殿で無い事を寸刻の間に証明してくれるであろう。
……どこかで見た様な技も多いが仕方ない。殿は人気者故、真似される事も多いのだ。
そのちょんまげの長さを何よりも誇り、散歩と称しては迷子となり、酒を飲めば女を困らせる。だが一条夢心地はうつけなどではない、バカでもない。
その扇の下の笑顔は穏やか、常に皆が幸福となる最善の結末を夢見て、そして其れを成し遂げてしまう胆力と底力、そしてやさしさを兼ね揃えている。
……人は見かけに限らぬとは言うが。実際の彼のぎゃぐちっくな行動を見ると、本当にそうかはわからない。
人は彼を指さし、何も為せぬ、家は燃やす、召喚されたのが間違いだと貶す。そうかのうとにやけるその顔は、どこか寂し気。
夢心地は語る、その名の通りどこか夢心地な様子で。かつて己は戦国の殿であり、皆が夢見る太平の世を、外の恐怖に折れぬ一つの国を造り上げようとしていたと。それはまさしく日ノ本の理想であった。
だがそれを殿が見る事は叶わなかった。所詮武力では平和を作れぬのか、人の欲望は罪深いのか、あるいは一人では完全な善となる事ができなかったのか。
今際の際に見たものは築き上げてきた自分の城が、仲間が、名誉が、そしてこの身が灰となって行く姿。
殿はその真なる名と誇りを捨てた。そして決して醒めぬ『混沌』の夢を漂う一人の兵となり、刀を振るうと決めたのだ。
おごれる人も久しからず。
例え狂気と罵られようが、彼は何度でも自らの城を立てては燃やし続けるだろう。この焔こそが自らの罪であり、決意の証なのだ……と。
なんての。
信じるか信じないかはそなた次第……これが世に聞くぎゃっぷもえじゃ。
どうじゃ、少しはそなたの心が揺れ動いたろう?
――人気の秘訣を聞かれた、とある酒の席にて。