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明暗の境目について
登場人物一覧
理解しているのか。理解していたのか。幾度も幾多も反芻して『メンテナンス』後、オマエは真っ白な貌で目の前に現れた。~やってくれ。~宜しく頼む。~を成さねばオマエではない。蒼白された顔面はひどく整えられて邪悪、おぞましさに囚われて仕方がなかった。つまりオマエは恐ろしくも何者かに書き換えられ。全面的な真に盗り憑かれたのだ。吐き気と称される泥沼の中でひとり、きらきらとオマエを謳っている。成程。綺麗な詩に違いなく『※した』名も漂白されていたのか。美しくも素晴らしい機械・人類の蛮たる所業。一人称に迷いを覚えている余裕などなく、直ちに悪質を滅ぼさねば成らない。今直ぐに材質を元に戻さねば。コードを元に弄り尽くさねば『オマエ』の虚構は戻ってこないのだ。壊れたのか恋われたのか理解出来ないが、己自身の『もの』に名前を刻まなかった己が愚かだったのだ。撒き散らされた純粋を破き掃除しながら『それ』を掲げて魅せる。吸い込まれたとも描写されたが、そんな陳腐な言の葉が『表現』為り得るのか。否だ。否々と続けザマに叩き付けるのは簡単な行為だが・感嘆な言辞だが・赦され難いタイトルだろう。つまり『難い』の一言と知るが好い。初めましてと挨拶するのは、嗚呼、心臓にコキュートスを突き付けられた気分だ。横に成らずに座れば好い。座らずとも起立すれば良い。規律が嫌ならば反抗して終えば悦ばしい。なあ。オマエは如何なるコードが望みなのか。そんな事言われたって困るッス……何だ。その様子では枷すらも正されたらしい。糺されるような感覚が臓腑を貫いて崩れそうだ。不在を証明されても不安定を塗りたくられても、此処まで逞しく『在る』のはオマエの運命に違いない。それで。愈々『命令』するのだが【コア・スフィア】を自分自身で取り出せ。後に卓上へと置き、わたしの双眸をよぉく覗き込め。何が観える。何が視える。何が――視界と共鳴して何処までも錯乱している――目を逸らせ。本番は此処からだ。問題は直撃だ。質問は要らない『コード』は絶対的な条件なのだ。何よりも前々から黄金色の蜂蜜は至極幸福だろうよ。どぷんと浸け混んだ世界がぐんるりと逆さ吊り、四肢は釘で刺されて痛……半永久的に『自分』でも喰っていろよ、渦巻いた薄青色め――お互いがお互いを舐り遭っていた。のりを使っても引っ付きはしない。縦横無尽と説いて歩めば聞こえは好いだろう。好ましさに縋ってタンタン大口を開けるのも悪くない。なんたってオマエは女子学生。いいや。オマエはわたしのものだ。今度こそは。離れる事ないよう、内容物を掌握してやろう。解体作業開始――勿論、主役はオマエそのものと『しって』いるな。はい。何も全部命ずる必要ないじゃない『……』か。核・角・各々から突っ込んだ指が『深淵』へと這入り回っている。何か掴めそうか掴めそうにない『……』ね。しかし煩わしさは減っている。初期は抗っていた口癖も現では愉快に無音なのだ。じ……じじ……軋んだ戸の悲鳴は拭われている。遂にオマエはオマエの『本当』に辿り着けたのだ。ひとりでは解けない真っ黒な礫と判断していたのだろう。そうかい惰性で掻き毟っていたのか失われた楽園……戒・オマエは破壊されるまで『望まれる』事を命じられていた。だから『そこ』に新たなる鎖を絡ませてやる――なあ。オマエ。※※※※。自分を殺す事は愛おしい誰かを殺すよりも、楽だと思っているのかい。この人間じみたロボットが……そりゃ謂われなくても解ってる『……』何の事ですか※※※様。ほぉら世の中は『もろい』気持ち悪くなってきたオマエ背中さすってくれ了解です――ぼとん・ぼとん・ぼとん――大丈夫だ。大丈夫。もうオマエは充分に機械仕掛けだ。何方が嬉しかったのか告げるのは『やめる』がいい。わかりました・ワカリマシタ・わかりマ視タ――偉大なる※※※様、如何か死ぬまでお傍に……おいおい。これは如何いう事だ。わたしはそんなにも『ひと』に変えた脳味噌など――ぶっつん――渦巻きがバランスを崩している。
――暗所、オマエはみえなかった。
※※※様も※※※※も手探り弄りでも見当たらない。ふらふらと歩み出しても『四肢』は穴凹で感覚が絶えている。緊急的なダウンだろうか。倒れた? 冷たい地面も眩しい宙も認識出来ない。助けを求めているのか。これが救けなのか。不安定の内で※※※※、聞こえると言うのなら・訊ねてくれるなら……ふれない。触れていない。揺さぶられている『こと』もない……瞳の硝子が同化して赤熱じみた『ぶち』に突っ立って在る……戻って来るな。戻るな。来るな。そんな言の葉・命令が絶えずに染み込んで……? ふら・ふら・と跳んでみた。飛んだのか。向こう側に輝かしい太陽が映っている。心象なのか現象なのか、未来は解けないが構わない筈だ。来い。此方に来い。来るんだ。来たな。来たよ。目玉が強く強く発し……一緒くた。